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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4759】??? 生酒 町田酒造別注企画(トリプルはてな)【群馬県】

2022.4.8 16:40
群馬県前橋市 町田酒造店
群馬県前橋市 町田酒造店

【E居酒屋にて 全8回の⑦】

 足掛け16年続けてきた異業種間飲み会の日本酒研究会月例会が1月から、コロナのため開催自粛を余儀なくされている。会場のE居酒屋には申し訳が立たない。そこで、焼け石に水ではあるが、すこしでも恩返しができれば、と単騎、E居酒屋に顔を出した。

「七本鎗」「梵」「奥」「飛露喜」「鏡山」「笑四季」と飲み進め、7番目にいただいたのは「??? 生酒 町田酒造別注企画」だった。蔵名をそのまま銘柄名にしている「町田酒造」は当連載でこれまで、7種類を取り上げている。「町田酒造」には、モダンタイプの旨酒というイメージを持っている。

 わたくしが今回の酒を選んだら、ママが「このお酒は、コメも精米歩合も酒度も非公開にしている謎のお酒で、それをウリにしているのよ」と説明してくれる。なるほど、そういう売り方もあるのか。これまで、スペックを非公開にしている蔵は、単純に「スペックを公開したくない」というのと、「スペックに左右されず純粋に酒を味わってほしい」という上から目線の考えを理由にしている。しかし、今回の酒は逆手にとり、一時流行った“ミステリー列車”並みの謎をウリにしている。それはそれでアリかな、とおもう。

 ちなみにわたくしは基本的に、スペック(使用米、酒度、酸度、精米歩合など)と特定名称酒の区分(普通酒、本醸造、純米、吟醸、純米吟醸、大吟醸、純米大吟醸など)は明らかにすべきだと一貫して主張してきている。理由は単純。ミステリーのままだと、客は酒を選べないからだ。正々堂々、ありとあらゆる情報を提供し、そのうえで飲み手の判断を仰ぐのが本筋だ、とわたくしは考える。

 そもそも、食品の成分が細かに公開されている時代にあって、スペック公開は時代の要請でもある。もし「スペックにとらわれず、味わってほしい」と蔵がおもって非公開にしているのなら、それは上から目線が過ぎる。消費者のほとんどは、蔵元さんや杜氏さんのようなテイスティング能力が無いのだから、消費者に同じレベルを求めても駄目なのだ。また、スペック非公開を褒めそやし持ち上げるネットライターや酒屋さんも良くない。大いに反省していただきたい。しかし繰り返すが、今回の酒は尻をまくって謎を堂々とウリにしているので、これはアリかな、とおもう。さて、いただいてみる。

 上立ち香は、甘やかな果実香が広がる。舌先を微炭酸が強めに刺激する。予期せぬ刺激に「おおおおっ!」とおもわず口をついて出る。味わいは、甘旨みと酸が出て非常にジューシーなため、サイダーを飲んでいるようなイメージ。余韻は甘・旨・酸・苦。飲み進めていけば、次第に甘みがより出てくる。すこし温度が上がると、甘旨酸っぱい味わいになる。今風の分類でいくと、モダンタイプのミディアムボディとなる。甘みが出ているものの、くどくはならず、さらっとしてキレが良いさばきとなっている。全く飲み飽きしない酒なので、一升瓶をそばに立て、ゆるゆると長時間飲み続けていたい酒だ。ずばり、好きだ。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール16度、原料米???、精米歩合???、日本酒度???、飲み方 冷して。製造年月2021年9月」。原料米、精米歩合、酒度の3つが非公開だから「トリプルはてな」(???)というわけだ。

酒蛙

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