【4758】笑四季 Sensation GOLD 生酒(えみしき)【滋賀県】

2022年04月07日
酒蛙酒蛙
滋賀県甲賀市 笑四季酒造
滋賀県甲賀市 笑四季酒造

【E居酒屋にて 全8回の⑥】

 足掛け16年続けてきた異業種間飲み会の日本酒研究会月例会が1月から、コロナのため開催自粛を余儀なくされている。会場のE居酒屋には申し訳が立たない。そこで、焼け石に水ではあるが、すこしでも恩返しができれば、と単騎、E居酒屋に顔を出した。

「七本鎗」「梵」「奥」「飛露喜」「鏡山」と飲み進め、6番目にいただいたのは「笑四季 Sensation GOLD 生酒」だった。「笑四季」はとにかく飲む機会が多く、当連載でこれまで、30種類を取り上げている。わたくしは、基本的に居酒屋で当連載の取材をしている。つまり、居酒屋と酒屋さんが、この「笑四季」に感心を寄せているから、わたくしが飲む機会が多い、ということになるのだとおもう。

 多くの「笑四季」を飲み続けてきて、やはり、酒屋さんが関心を寄せる酒蔵だと実感している。なぜならこの蔵は、立ち止まることを知らず、常に実験を続けているからだ。このやり方から、時としてとんでもなくすごい酒が誕生したりする。酒屋さんにとって、この蔵は、目が離せないやんちゃ坊主なのだ。そして、やんちゃぶりが好感を持たれる。だから、取り扱うことになる。そんな構図だとおもう。

 酒質も、貴醸酒的なお酒あり、地味な味わいあり、淡麗酒あり、と懐がやたらに深い。落ち着きがない、といえば聞こえが悪いが、固定観念にとらわれず、さまざまな試みに挑む姿は好感が持てる。また、いつものことながら、酒名は、ぶっ飛んでいる。遊びなのか、真剣なのか。そのつかみきれない正体不明なところがまた魅力なのだ。さて、今回のお酒をいただいてみる。

 上立ち香はセメダイン香(酢酸エチル)あるいはシトラス系。わたくしが好き香りだ。期待が高まる。含むと「おっ、旨い」。おもわず口をついて出る。旨みと酸が立つ。中でも酸が出ている。甘みもけっこう出ている。キレ良く、余韻は苦み。旨み・酸・苦みが味を支配している。含み香もセメダイン香あるいはシトラス系だが、香味に“笑四季のDNA”がある。しかし、ヤンチャな酒質ではなく、いたってオーソドックス。でも、飲み進めていくと、ヤンチャさがすこし顔をのぞかせる。そこがまたいい。モダンタイプ寄りで、ボディー感のあるお酒だった。

 蔵のホームページは、Sensationシリーズのコンセプトと、この酒を以下のよう紹介している。

「笑四季が提案する新定番酒としてスタートさせたコンテンポラリーシリーズ ”Sensation"
金ラベルは酸の力強さを意識し、麹造りから仕込配合に至るまで改良を加え、10号酵母由来とは思えないほどのキラキラとしたシャープな酸を引き出しています」

 瓶の裏ラベルを見ると、酒名の副題のように「Serenity and Serendipity」と書かれている。辞書を引いてみたが、何を言いたいのかさっぱり分からない。たぶん、飲み手のほぼ100%は、分からないだろう。上から目線過ぎる。ふつうの飲み手が分かるような英語、もしくは日本語で書いてほしい!

 裏ラベルのスペック表示は「仕込順号06、原料米 滋賀県近江八幡市産山田錦、精米歩合50%、酵母10号 高温糖化乳酸菌酒母、岩間山岩清水使用、蔵出期2021年12月08日、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、アルコール分15度、製造時期(瓶詰)2021年12月」。特定名称酒の区分をしていないのが気になる。お酒を買う人のことを考えて特定名称酒の区分をすべきだとおもう。精米歩合が50%で純米系なので、純米、特別純米、純米吟醸、純米大吟醸のうちのどれか、か。それとも、特定名称酒を名乗れない理由があるのだろうか。

 酒名・蔵名の「笑四季」の由来について、コトバンクは「酒名は、四季を通じて楽しく酒を飲みながら暮らしてほしいとの思いを込めて命名」と説明している。