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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4703】墨廼江 特別純米(すみのえ)【宮城県】

2022.1.25 15:32
宮城県石巻市 墨廼江酒造
宮城県石巻市 墨廼江酒造

【B居酒屋にて 全8回の⑧完】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられていたが、第5波が下火になってから、ようやくお客さんが戻って来た。しかし、ソーシャル・ディスタンスを確保するため、満席でもコロナ前の7割しか客を入れられない。うまくいかないものだ。そうこうしているうち、オミクロンによる第6波が襲来。まったくもって、うまくいかないものだ。

「三重錦」「甲子林檎」「手取川」「七田」「穏」「九尾」「モダン仙禽」と飲み進め、最後8番目にいただいたのは「墨廼江 特別純米」だった。墨廼江酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで、21種類を取り上げており、そのほとんどの銘柄は「墨廼江」だ。「墨廼江」に対しては、きれいで淡麗、クセの無い、それでいて味わいのある、やわらかなお酒、というイメージを持っている。

 今回のお酒は当連載【352】で取り上げた「墨廼江 特別純米」と同じだとおもうが、ラベルのデザインがだいぶ変わっているし、前回取り上げたのは2010年11月28日で、あれから11年以上もたっているので、再び取り上げることにした。さて、いただいてみる。

 さっぱり、すっきりとした口当たり。これが第一印象。軽快感があるが、旨みと酸を感じる。バナナ香かセメダイン香(酢酸エチル)に似たような含み香がすこし。フレッシュ感があり綺麗な酸がいい。やや辛口。まさしく最適の食中酒だとおもった。飲み飽きしないで量を多く飲める酒だとおもった。一升瓶を立て、じっくり飲んでみたい、とおもうような酒だった。

 ラベルのスペック表示は「アルコール分15度、精米歩合60%、原材料名 米(国産)米麹(国産米)」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 東日本大震災の前、いちど、墨廼江酒造を訪れ、蔵を見学させてもらったことがある。蔵元さんは、本当に優しくて穏やかで、控えめで、人柄の良さが顔にあらわれている好人物だった。「なぜ酒名・蔵名が墨廼江なんですか?」というわたくしの唐突な質問にも、石巻市史(たしか・・・)をひもとき、該当の部分を指で示しながら「蔵の創業当時、蔵があった場所が墨廼江と呼ばれていたことにちなみ命名されたようです。このくらいのことしか分かりません」と恐縮しながら答えていたのを、今でも鮮明に覚えている。

 名は体を表す、という言葉があるが、この蔵は、蔵元さんの人柄がお酒に表れている、とでも言えようか。

酒蛙

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