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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4702】モダン仙禽 亀ノ尾 無ろ過原酒 2021(せんきん)【栃木県】

2022.1.23 17:55
栃木県さくら市 せんきん
栃木県さくら市 せんきん

【B居酒屋にて 全8回の⑦】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられていたが、第5波が下火になってから、ようやくお客さんが戻って来た。しかし、ソーシャル・ディスタンスを確保するため、満席でもコロナ前の7割しか客を入れられない。うまくいかないものだ。そうこうしているうち、オミクロンによる第6波が襲来。まったくもって、うまくいかないものだ。

「三重錦」「甲子林檎」「手取川」「七田」「穏」「九尾」と飲み進め、7番目にいただいたのは「モダン仙禽 亀ノ尾 無ろ過原酒 2021」だった。「仙禽」は、わたくしの大好きな銘柄。飲む機会が多く、当連載でこれまで、24種類を取り上げている。

 10年以上前、わたくしの心を奪った「仙禽」は「仙禽 山廃純米 木桶仕込袋しぼり 無濾過生原酒 亀の尾」(当連載【42】)だった。パンチのある酸、甘旨酸っぱい膨らみのある味わい、驚くべき燗上がりの素晴らしさ。どの部分をとっても、わたくしの心に刺さったものだった。この酒との出会いは、実に実に衝撃的なもので以来、「仙禽」の大ファンとなった。近年は甘酸っぱくてジューシーな「モダンタイプ」(速醸)と、さらりきれいな酒質の「クラシックタイプ」(生酛)を造り分けている。

 今回はモダンタイプだ。スペック的には、わたくしを虜にした「仙禽 山廃純米 木桶仕込袋しぼり 無濾過生原酒 亀の尾」と味わいが酷似しているのではないだろうか、と期待が膨らむ。さて、いただいてみる。

 旨みたっぷり。酸が弾ける。絵に描いたようなジューシーなお酒。きれいで力強い酸が四方八方に広がる。この厚みのある旨みと、力強い酸が相まって、実にパンチのある甘旨酸っぱい味わいとなっている。とはいっても、「亀の尾」で醸した酒にみられる良い意味での“硬さ”がちゃんとあり、個性を形作っている。

 含み香は、若いバナナやセメダイン(酢酸エチル)をおもわせるような、わたくし好み。余韻の酸がまたいい。まったく飲み飽きしない酒質。コレハ旨い。たしかに、まさしく、「仙禽 山廃純米 木桶仕込袋しぼり 無濾過生原酒 亀の尾」を彷彿とさせる味わいだった。感涙の味わいだった。

 瓶の裏ラベルは、蔵の基本方針を以下のように紹介している。

「仙禽とは鶴を意味す。ドメーヌ。仙禽はすべての原料米に対してドメーヌ化を行いました。蔵に流れる地下水(仕込み水)と同じ水脈上にある田圃だけに限定し、原料米を作付けします。仙禽にとって、その米と水は最良のマリアージュを約束します。すべての米の原点である『亀ノ尾』のポテンシャルを100%引き出すために、クリーンな酸味、美しい甘味を追求しました」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 ドメーヌさくら・亀の尾(栃木県さくら市産)8割使用 ドメーヌさくら・山田錦(栃木県さくら市産)2割使用、精米歩合 麹米50%山田錦 掛米60%亀ノ尾、アルコール分15度(原酒)、使用 無ろ過原酒、製造年月2021.08」。特定名称酒の区分はされていないが、スペックから類推すると、純米吟醸、特別純米あたりか。

 アルコール分15度の原酒だからこその、飲みやすさと味わい深さがある。

 酒名・蔵名の「仙禽」の由来について、日本の名酒事典は「『仙禽』は古語で、“鶴”を意味し、酒名は長寿を保つめでたい鳥にあやかって命名」と説明している。モダンシリーズのラベルの「仙禽」の文字は、鶴を模したものだ。

酒蛙

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