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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4698】手取川 山廃 純米 無濾過原酒(てどりがわ)【石川県】

2022.1.18 22:25
石川県白山市 吉田酒造店
石川県白山市 吉田酒造店

【B居酒屋にて 全8回の③】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられていたが、第5波が下火になってから、ようやくお客さんが戻って来た。しかし、ソーシャル・ディスタンスを確保するため、満席でもコロナ前の7割しか客を入れられない。うまくいかないものだ。そうこうしているうち、オミクロンによる第6波が襲来。まったくもって、うまくいかないものだ。

「三重錦 超辛 純米 28酒造年度」「甲子林檎 純米吟醸 生酒」と飲み進め、3番目にいただいたのは「手取川 山廃 純米 無濾過原酒」だった。吉田酒造店のお酒は当連載でこれまで、13種類を取り上げており、そのほとんどが「手取川」だ。「手取川」には、クセの無い、非常に平均的な味わいの酒(実は酒造でこれが一番難しいこと)というイメージを持っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 きれいな甘みと酸が出て、軽い口当たり。これが第一印象だった。香り穏やか。甘酸っぱくて非常に軽快。絵に描いたようなモダンタイプのライトボディ。いいね、いいね。生酒ではないが、スパークリング的なガス感がある。アルコール分がすくなそうだな、とおもいながら瓶の裏ラベルのスペック表示を見たら、おおおっ、なんと9%。道理で軽く感じたわけだ。最初からスペック表示を見ればよかったのだが、新しい酒を目の前にすると逆上し、つい早く飲みたがるのですね(苦笑)

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「7代目のLabシリーズ。2020ver.はアルコール度数1桁の壁に挑戦。この数年で低アルコールの酒質も良くなってきたので、この技術を応用。得意とするナチュラルな製法の『モダン山廃』、優しい甘味が特徴の『石川門』、代々受け継がれてきた『自社培養金沢酵母』で仕込みました。搾ったお酒のアルコール度数はなんとか9%台をキープ。爽やかな甘味と酸味、発酵由来の軽快なガス感が特長のお酒に仕上がりました。よく冷やしワイングラスや冷酒グラスでお楽しみ下さい」

 造り手の熱い気持ちは伝わってくるが、書き出しが「7代目のLabシリーズ」ではいけません。自分たちだけ分かってもいけません。わたくしは、「7つ目の実験室」と解釈してしまった。しかし、酒屋さんのウェブサイトを見たら、やっと意味が分かった。「7代目蔵元の吉田泰之さんの実験室シリーズ」という意味だったのだ。初めて「7代目のLabシリーズ」を目にした人は、まさかそんな意味だとはおもわないだろう。

 さて、裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(石川県産)米こうじ(石川県産米)、原料米 石川門100%、精米歩合50%、アルコ―ル分9%(原酒)、製造年月2021.09

 石川県酒造組合連合会の「酒米石川門」のホームページは、「石川門」開発の歴史について、以下のように紹介している。

「うまい酒を造るために特別に育成された、石川オリジナル品種の酒造好適米、それが酒米石川門です。『石川独自の米で、石川でしか造れない酒を造る』という長年の夢を現実のものにした酒米石川門は、石川の酒造会社、米生産者、農業研究者のコラボレーションから誕生しました。十数年の歳月をかけた品種改良や試験栽培の結果、酒米の命ともいうべき心白が極めて大きい、吟醸酒づくりにも適した、高品質の酒造好適米が生まれたのです。

 平成20年、酒米石川門は酒づくりに理解のある4軒の酒米農家で栽培され、収穫された米は6社の酒造会社で米の味がしっかり伝わる純米酒や純米吟醸酒になりました。そして平成21年には、酒米づくりは石川県内5つのJAへ、酒づくりは14の酒造会社へと、石川門の輪は着実に広がっています」

 また、石川門の特徴として、(1)石川県での栽培に適している(2)早生品種/短棹で倒伏しにくい(3)吟醸酒向きの品質を有している(4)粒が大きい(五百万石よりも大粒)/心白が大きく、心白発現率が高い-の4点を挙げている。

 同ホームページには、「石川門」の系譜が示されている。それによると、「石川門」は、母「石川県育成系統予236」と、父「一本〆」を交配させて開発した、という。「石川県育成系統予236」は母「五百万石」と父「フクヒカリ」を交配させて開発。また「一本〆」は母「五百万石」と父「豊盃」を交配させて開発された。いってみれば「石川門」は、「五百万石」や「豊盃」の孫ということもできる。

 酒名「手取川」の由来について、蔵のホームページは「手取川の伏流水を使っている」としている。

酒蛙

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