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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4695】白露垂珠 純米大吟醸 jellyfish(はくろすいしゅ)【山形県】

2022.1.15 18:30
山形県鶴岡市 竹の露
山形県鶴岡市 竹の露

 休日の夕方、ふらりと近所のうなぎ屋へ。うなぎはもちろん美味しいのだが、酒がいい。定番酒はありきたりの地酒3種類ほどだが、店主の“隠し酒”が面白い。この場合の面白い、は特段意味のある言葉ではない。わたくしの興味をそそる酒が多い、ということだ。どんなルートで入れているのか興味のあるところだが、あえて聞かないことにしている。

 席につくと、店主が酒を抱えてきた。今回の酒は「白露垂珠 純米大吟醸 jellyfish」だった。当連載でこれまで、「白露垂珠」を8種類取り上げている。「白露垂珠」は、酸をあまり感じないやさしくてまったりとした口当たりの酒、という印象がある。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 やさしく、やわらかな口当たり。軽い旨みと軽い酸が相まって、上品さを非常に感じる。余韻は軽い苦み・辛み。含み香は穏やかで、甘くフルーティー。甘みをけっこう感じ、辛みもややある。このため、やさしく穏やかな酒質に感じる。すこし温度が上がると、ふくよかさが膨らみ、甘旨みと酸が出てくる。タイプ別では、ジューシーなモダンタイプではなく、クラシックタイプ寄り。ずばりひとことで言えば「濃淡適度な甘旨口」。

 表ラベルの下のスペック表示は「原材料名 水(出羽三山深層水)米(羽黒産)米麹(羽黒産米)、原料米 出羽きらり100%使用、麹菌 オリゼー山形、酵母 山形酵母、精米歩合44%、アルコール分15.3%、日本酒度-3、酸度1.4、アミノ酸度0.7、タイプ 芳醇旨口、最適料理 新鮮魚介系和食、飲用適温帯5度~48度、保管温度12度以下適、製造年月21.5」。

 使用米の「出羽きらり」は、山形県農業総合研究センター水田農業試験場が1999年、母「山形75号」と「奥羽366号」(ちゅらひかり)を交配、選抜と育成を繰り返し品種を固定。2012年に命名、2014年に種苗法登録された新しい酒造好適米だ。

 酒名の「jellyfish」はクラゲのこと。蔵のある鶴岡市にはクラゲで有名な加茂水族館がある。それをイメージしたラベルで、ネット情報によると、蔵の女将さんがラベル絵を描いたのだそうだ。

 酒名「白露垂珠」は、李白の漢詩「金陵城西樓月下吟」の中の一節に由来する。瓶の裏ラベルは、その漢詩を掲載している。漢字だけだと読みにくいので、これも裏ラベルに掲載している日本語訳(文語訳)を以下の転載する。

金陵 夜 寂として 涼風おこり
独り高楼に上りて 呉越を望む
白雲 水に映じて 空白を揺すり
白露 珠を垂れて 秋月に滴る
月下に沈吟して 久しく帰らず
古来 相継ぐもの 眼中に稀なり
言い得たり 澄江浄きこと練り絹の如しと
人をして 長く謝玄暉を憶わしむ

「白露垂珠」は、「白露 珠を垂れて 秋月に滴る」(原文=白露垂珠滴秋月)の部分から。露は珠(たま)となり、秋月に照らされながらしたたる、という意味なのだろうか。したたる珠は、お酒をイメージしているのだろうか。

酒蛙

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