【4694】貴 山廃 純米 雄町(たか)【山口県】

2022年01月14日
酒蛙酒蛙
山口県宇部市 永山本家酒造場
山口県宇部市 永山本家酒造場

【B居酒屋にて 全8回の⑧完】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられていたが、第5波が下火になってから、ようやくお客さんが戻って来た。しかし、ソーシャル・ディスタンスを確保するため、満席でもコロナ前の7割しか客を入れられないという。うまくいかないものだ。

「鹿鳴」「秋綿」「みむろ杉」「大倉」「忠愛」「川鶴」「赤武」と飲み進め、最後8番目にいただいたのは「貴 山廃 純米 雄町」だった。「貴」は当連載でこれまで、9種類を取り上げている。酸の立つしっかりとした味わいのお酒、というイメージを持っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 鮮やかな酸と旨みを感じる。この酸と旨みが良い。これが第一印象。まるい旨みがたっぷり、甘旨酸っぱい、力強い味わい。いかにも山廃チックな複雑な含み香の中に、ほのかに柑橘系を感じ、さわやか感がある。余韻は酸。キレが良い。モダンタイプのミディアムボディという酒質に感じた。

 表ラベルの表記は以下の通り。「SAKAMAI VINTAGE 2017(酒米収穫年)」、「THINK GLOBALLY、ACT LOCALLY(世界を見据え、地に根ざし個を磨く)」「酒造家 永山貴博」。最後の酒造家がすごい。彼が名乗る以外に名乗る人を知らない。ものすごい自信だ。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「自然界の乳酸菌の力で発酵させ、伝統的な山廃仕込みによって生まれる、力強い酸味や旨味を生かしました。チーズや燻製と合わせてお楽しみ下さい。常温から40度の温度帯がおすすめです」

 また、蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。

「味わい:荒削りな土っぽさと力強い酸味。 オススメの料理:チーズ類、スパイスのきいたお肉。
 岡山県赤磐市産の日本在来の米 雄町を使用し、どこか荒削りな土っぽさが魅力の酒に仕上げています。芯白が大きい特徴の雄町の魅力を十分に引き立てるために磨きを制限しました。そのことによって生まれる米の香ばしさを十分に楽しんでいただけたらと思います。自然界の乳酸菌の力で発酵させる伝統的な山廃仕込みによって生まれる『貴・山廃純米雄町』は、チーズやバターを使った料理との相性が非常に優れていて、お肉に様々なスパイシーな薬味を加えたお料理にも負けることなく等しく楽しむことのできる、日本酒としては稀有な存在です」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「アルコール分15度、精米歩合60%、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 雄町100%、製造年月2021.8」。

 酒名「貴」の由来について、ホームページを見てみたが、説明はなかった。ただ、ホームページに掲載されている、蔵の年表を見たら「2001年(平成13年) 永山貴博が杜氏になる、2002年(平成14年) 「貴」の発売開始・全国販売の開始」という記述があった。これらから、「貴」という酒名は、永山貴博さん(現・代表取締役兼杜氏)が杜氏に就任したとき、自分の名の一文字を使った酒を開発、新商品にしたことがうかがえる。熱い心意気が込められた酒名なのである。