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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4689】みむろ杉 純米吟醸 山田穂 夢ろまんシリーズ(みむろすぎ)【奈良県】

2022.1.8 21:41
奈良県桜井市 今西酒造
奈良県桜井市 今西酒造

【B居酒屋にて 全8回の③】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられていたが、第5波が下火になってから、ようやくお客さんが戻って来た。しかし、ソーシャル・ディスタンスを確保するため、満席でもコロナ前の7割しか客を入れられないという。うまくいかないものだ。

「鹿鳴」「秋綿」に続き、3番目にいただいたのは「みむろ杉 純米吟醸 山田穂 夢ろまんシリーズ」だった。今西酒造のお酒は当連載でこれまで、15種類を取り上げており、うち「みむろ杉」が10種類、漢字の「三諸杉」が2種類。平仮名と漢字をどのような基準で使い分けているのだろう。隔靴搔痒、すこしイラっとくる。今西酒造のお酒には、総じて、濃醇で分厚い口当たりの、しっかりした味わいの酒、というイメージを持っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 酒蛙「セメダイン(酢酸エチル)に似た含み香を感じる。口当たりふくよか。さわやかなお酒だ」
 仲居さん「甘く感じる」
 酒蛙「同感。ふくよかで力強さがある。セメダイン似香ととも柑橘系の含み香を感じる。甘み、旨み、酸がそれぞれ良く出ており、余韻は少しの辛み。飲み進めていくと、柑橘系の香りと酸の世界に身をゆだね、桃源郷にいる心地になる。最初、甘みが立っているとおもったが、飲み進めていくと、旨み、酸とともに、バランスの良い、やや濃醇な味わいとなっている」

 酒屋さんのウェブサイトを見ると、【蔵元のコメント】と称し、蔵元さんが以下のようなコメントを寄せているので、以下に転載する。「最も有名な酒米『山田錦』の母とされる『山田穂』(やまだぼ)で醸した純米吟醸。香りはほんのり白桃様の吟醸香。透明感ある深く柔らかな口当たりと凛とした酸のバランスが良い仕上がりです。8月に発売予定の、山田錦の父『短稈渡船』で醸した『みむろ杉 純米吟醸 短稈渡船』との飲み比べもお試しください」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「酒の神が鎮まる地奈良・三輪で360有余年醸す酒『みむろ杉』。仕込み水は蔵内井戸から湧き出る御神体『三輪山』の伏流水、米は山田穂を100%使用。山田穂での醸造は創業以来初。どのような味わいを表現したのか、ぜひ感じて下さい」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 山田穂100%、精米歩合60%、アルコール分15度、製造年月2021.06」。使用米の「山田穂」は、酒米の王者・山田錦の母として広く知られている(山田錦の父は短稈渡船)。

 使用米の「山田穂」について、白鶴酒造(兵庫県)は自社のホームページで以下のように説明している。「兵庫県が大正時代に在来品種である山田穂を純系淘汰することにより得られた品種で、新山田穂1号が正式名です。1936年まで酒造好適米として兵庫県で広く栽培されていました」

 一方、山形県酒田市の阿部酒店は自社のホームページで以下のように説明している。阿部酒店は、白鶴酒造がいう「山田穂」の前段階の「山田穂」について語っているようにおもえる。「『山田穂』とは、明治10年(1877年)頃に兵庫県多可町で優良株から選抜されました。その酒造適性は非常に高く、明治20年代頃には兵庫県多可町周辺で広く栽培されていましたが、栽培の難しさなどから徐々にその姿を消していきました」

 酒名「三諸杉」(みむろすぎ)の名の由来について、日本の名酒事典は「酒名は、三輪山の別称『三諸』と、酒の神を祀る大神(おおみわ)神社の御神木「杉」を合わせて命名」と説明している。

酒蛙

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