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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4686】明鏡止水 大吟醸(めいきょうしすい)【長野県】

2022.1.2 22:17
長野県佐久市 大澤酒造
長野県佐久市 大澤酒造

【Z料理店にて 全5回の⑤完】

 近所のZ料理店に顔を出す。「うちは居酒屋じゃないんだからね。居酒屋みたいにいっぱいの種類の酒を置いてないんだからね」と言いながらも、予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。コロナで大苦戦を強いられていたが、第5波が下火になってから、お客さんが戻り始めた。以前のようなにぎわいを早く取り戻してもらいたい、と切に願う。

「大那」「花垣」「辻善兵衛」「凛嘉」と飲み進め、最後5番目にいただいたのは「明鏡止水 大吟醸」だった。大澤酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで、25種類を取り上げており、うち22種類が「明鏡止水」だ。わたくし行きつけの居酒屋の店主が「明鏡止水」がお好きなためだろう。この銘柄には、旨みがありながらきれい感・落ち着き感・バランスの良さを感じている。いわゆる飲み手を選ばない酒だとおもっている。

 今回の「明鏡止水 大吟醸」は、当連載【1245】で2013年8月5日に取り上げたことがあるが、それから8年余もたっているので、再度取り上げることにする。さて、いただいてみる。

 上立ち香ほのか。含み香は柑橘系で、軽いセメダイン香(酢酸エチル)も感じる。直前に甘みの強い酒を飲んだため、その影響で、最初はちゃんと味わえない。しかし、ほどなく口が慣れると、次第に旨みと酸が出て来る。この旨みと酸のコラボレーションが絶妙。旨みと酸は出過ぎず、上品感がある。余韻は辛・苦み。さらり、すっきりとした口当たり。キレが非常に良い。味が、ほぼ瞬間的にスパッとキレる。端的に言えば、クセが無いきれいなお酒だった。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)醸造アルコール、原料米 兵庫県産山田錦100%、精米歩合40%、アルコール分16度、製造年月2021.04(瓶詰月) 蔵出荷月2021.07」。

 製造年月と蔵出荷月を分けて表示し、しかも製造年月が瓶詰月を意味することを明記しており、非常に親切な表記だ。裏ラベルにただ単に「製造年月」とだけ書いている蔵がほとんどだが、一般の消費者は「製造年月」とはどの時点のことを言うのか分からないものだ。だから、大澤酒造の表記は一般の消費者に寄り添ったもので、高く評価できる。

 酒名「明鏡止水」の由来について、「日本の名酒事典」は、「元禄2年(1689)の創業。酒名の“明鏡止水”は、曇りなく磨かれた鏡と静止した水のことで、“心が澄みきって乱れがない”という意味。その意味を酒にだぶらせて、くせがなく飲みやすいという酒質を表すとともに、言葉の響きが美しいことから命名された」と説明している。

酒蛙

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