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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4685】凛嘉 純米吟醸 生原酒(りんか)【新潟県】

2021.12.31 14:53
新潟県糸魚川市 加賀の井酒造
新潟県糸魚川市 加賀の井酒造

【Z料理店にて 全5回の④】

 近所のZ料理店に顔を出す。「うちは居酒屋じゃないんだからね。居酒屋みたいにいっぱいの種類の酒を置いてないんだからね」と言いながらも、予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。コロナで大苦戦を強いられていたが、第5波が下火になってから、お客さんが戻り始めた。以前のようなにぎわいを早く取り戻してもらいたい、と切に願う。

「大那」「花垣」「辻善兵衛」と飲み進め、4番目にいただいたのは「凛嘉 純米吟醸 生原酒」だった。加賀の井酒造のお酒は当連載でこれまで、4種類を取り上げている。今回のお酒は、当連載【4613】で取り上げた「加賀の井 凜嘉 純米 無濾過生原酒」の純米吟醸バージョン。さて、いただいてみる。

 上立ち香はほのかだが、果実のような含み香が、けっこう華やか。滑らかで、とろみ感があり、やさしい口当たり。甘みがかなり立つ。しかし、辛みもけっこう出ているので、くどくはならない。酸はあまり出てこない。余韻は辛みと苦みで、キレが良い。「凜嘉」シリーズの純米(当連載【4613】)が濃醇フルボティーの甘旨酸っぱい味わいだったのに比べると、かなり違うイメージで、びっくりさせられた。

 瓶の裏ラベルは、「凛嘉」シリーズのコンセプトを以下のように説明している。

「新潟県の最も北陸よりに位置する糸魚川市で1650年より酒づくりを行っている酒蔵です。この『凛嘉(りんか)』は、自社井戸から汲み上げる中硬水(約127mg/L)の仕込水だから出せる『凛々しさ』と、常に『良いものを作り出していく』という酒蔵の挑戦を形にしていくシリーズです」

 また、裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合50%、山田錦100%使用、アルコール分16度、製造年月21.9、日本酒度-1、酸度1.7、アミノ酸度1.0、濾過方法 無炭素濾過」。

 この蔵は2016年12月22日に発生した火事に巻き込まれ、全焼した。2017年1月11日付の産経ニュースは、この蔵が生産再開を決断したことを伝えている。以下の転載する。

「糸魚川市の大火で全焼した創業360年余りの老舗酒蔵、加賀の井酒造が富山県黒部市の銀盤酒造の設備を借り、予約を受け付けていた顧客向けの日本酒の生産に2月下旬から乗り出す。5月下旬の出荷を目指し、本格的な再建に向けて一歩を踏み出す。
 両社の社長を兼務する田中文悟氏に、加賀の井の18代目蔵元、小林大祐さん(34)が『次につながる足掛かりがほしい』と相談を持ちかけたところ、設備の貸与に快く応じてくれたという。
 加賀の井は本県産の酒米や焼けた酒蔵で使っていた酵母を持ち込み、一升瓶(1800ミリリットル)で1000本弱の酒を仕込む計画。従来の年間生産量と比べて約3%にとどまるものの、電話やメールなどで寄せられた数多くの応援メッセージに応えようと生産を決めた。
 銀盤酒造は地理的にも近く、今回の協力について同社の山岸逸人取締役(39)は『360年余りの歴史で立ち止まってほしくない。困難を成功に変えてほしい』とエールを送る。
 小林さんは『大切にしてもらった地域の皆さんに応えるためにも自社の敷地でもう一度、酒を造りたい』と話す。今秋から来春までの仕込み時期に、焼失前と同様の規模で生産を再開することが目標という」

 そして、蔵が再開したときの模様を2018年4月27日付の毎日新聞サイトは以下のように伝えている。「糸魚川大火で全焼した工場棟を再建した酒蔵『加賀の井酒造』で26日、もろみの初搾りがあり、日本酒が出来上がった。瓶詰めやラベル貼りを経て5月1日には県内の店頭に並ぶ。被災から1年4カ月。県内最古の360年以上の歴史を持つ酒蔵が再び、新たな歩みを始めた」

 また、この蔵は慶安3(1650)年創業で、新潟県内最古の酒蔵として知られる。そして、新潟県なのに加賀を名乗っている不思議がある。これらについて、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「創業は慶安三年・1650年。江戸時代、糸魚川市は加賀百万石の参勤交代の宿場であった。承応元年(1652年)、加賀三世前田利常公の時、当地に本陣が置かれ、その時に利常公より酒銘『加賀の井』は命名された。本陣で醸造された酒『加賀の井』は、加州三候へ献上され、藩主、家老の献立にも用いられていたという。
 古くより、高品質の酒造りに励んできた『加賀の井』。この歴史が今もいきづいている。『加賀の井』は新潟県最古の酒蔵である」

酒蛙

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