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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4683】花垣 山廃純米60(はながき)【福井県】

2021.12.27 22:06
福井県大野市 南部酒造場
福井県大野市 南部酒造場

【Z料理店にて 全5回の➁】

 近所のZ料理店に顔を出す。「うちは居酒屋じゃないんだからね。居酒屋みたいにいっぱいの種類の酒を置いてないんだからね」と言いながらも、予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。コロナで大苦戦を強いられていたが、第5波が下火になってから、お客さんが戻り始めた。以前のようなにぎわいを早く取り戻してもらいたい、と切に願う。

 トップバッター「大那 特別純米 ひやおろし」に続いて選んだのは「花垣 山廃純米60」だった。「花垣」は当連載でこれまで、6種類を取り上げている。しっかりした味わいのお酒、という好印象を持っている。

 今回は、何の気なしに冷蔵庫から取り出したまま冷酒でいただいたが、この酒の真髄は「燗酒」もしくは「冷や」(20℃もしくは常温。あるいは室温)だったのだ。あとから知ったことではあるが、それを知らずに冷酒で飲むとは、なんたる不手際。不明を恥じるばかりだ。

 さて、冷酒でのテイスティングは以下の通りだった。グラスに注ぐと鮮やかな黄金色。古酒色。2夏を越して熟成させた酒というが、2夏を越しただけで、これほど色がつくものなのだろうか。びっくりだ。

 含むと熟成香、古酒香。紹興酒の香りを軽くした感じ。香ばしい古酒香が口の中に広がる。濃醇、甘旨みたっぷりで深い味わい。力強さがある。旨みは酸を伴い、余韻も酸と軽い苦み。酸は、出過ぎず、出な過ぎず、適度に出て来るのが好ましい。燗酒だったら、味の膨らみを感じることができただろうに。残念。悔やまれる。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「伝統の技、山廃仕込。熟成から生まれる濃厚な甘み、柑橘類を思わせる酸、芳しさを伴う渋みが混然一体となり調和します。しっかり熟成させてから出荷します。コクのある酸は、燗酒に最適です」

 この最後の行をわたくしは見落としていたのだ。というより、飲んでいるときは、裏ラベルを気にしないで飲む。この酒は「全国燗酒コンテスト2019」のプレミアム燗酒部門で、最高金賞を受賞したのだった。具体的にいうと、プレミアム部門の応募323点中、最高金賞19点の中に入った、ということだ。これについて、蔵のホームページは以下のように紹介している。

「全国燗酒コンテストは、温めておいしい日本酒を選ぶという世界で唯一の審査会です。11回目を迎えた今年度は、総勢268社から905点の応募があり、酒造技術者をはじめとした清酒の​専門家で構成された39名の審査員が、湯煎した酒をブラインドで審査しました。評価スコアの平均値で、上位30%を金賞、うち最上位5%を最高金賞と認定します」
「プレミアム燗酒部門の規定は、720ml 税別1,100円超、審査温度:45℃」
「花垣 山廃純米」は、大正時代から続く伝統製法・山廃仕込みで醸した純米酒です。二夏熟成させた味わいには、独特の力強さとコクがあり、燗酒に最適と言われています」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合60%、アルコール分15度、製造年月2021.10、1BY」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 酒名「花垣」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「明治34年 五穀豊穣、豊作が続き豪農や商家が相次いで酒造家となったこの頃、当家も親戚筋の酒造家の支援により、酒造りを営み始める。試験醸造を繰り返す中、出来上がった酒がめっぽう好評で、藤の垣根に囲まれて、謡曲を謡ながら、酒を愛でる宴の中で、えもいわれぬ、珠玉のしずくに酔ったと記されている。その時、謡曲『花筐』の「花垣」と言う謡の中の言葉を銘柄に選ぶ。人の心を喜ばせ、見て目を楽しませ、希望にあふれる縁起の良い言葉である」

酒蛙

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