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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4671】鍋島 Classic 特別純米 白菊(なべしま)【佐賀県】

2021.12.7 15:19
佐賀県鹿島市 富久千代酒造
佐賀県鹿島市 富久千代酒造

【B居酒屋にて 全6回の③】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられていたが、第5波が下火になってから、ようやくお客さんが戻り始めた気配が感じられる。以前のようなにぎわいを早く取り戻してもらいたい、と切に願う。

「白隠正宗」「黒龍」と飲み進め、3番目にいただいたのは「鍋島 Classic 特別純米 白菊」だった。「鍋島」は2011IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の日本酒部門のチャンピオンに輝き注目された。その前から、日本各地の地酒蔵から目標とされてきた実力蔵だが、受賞でさらに注目度が高まった。

「鍋島」は飲む機会が多い酒で、当連載でこれまで、21種類を取り上げている。甘旨酸っぱい味わいで濃醇、モダンタイプのフルボディー酒というイメージを持っている。モダンタイプの「鍋島」がクラシックタイプを名乗ったので、かなり驚いた。これは飲んでみなければならない。飲まずにはいられない。さて、いただいてみる。

 仲居さん「ピリピリ来るぅ~!」
 酒蛙「たしかにチリチリと舌先に微発泡を感じる。さらりとした軽快なな口当たり。クラシックタイプであることがよく分かる。酸が適度に出てくる。甘・旨・酸・辛・苦がいずれも出ている中で酸を一番感じるが、前に出てくることは全くない。こんな『鍋島』は初めてだ。サイダー感がほのかに感じる。余韻は軽い苦み。香りほのか、さらり軽快、きれいな口当たりで旨みが適度にある、という酒質」

 前述したように、「鍋島」には、フルーティー&ジューシー的甘旨酸っぱい味わいで濃醇フルボディーな酒質という派手めなイメージを強く持っている。近年の分類に当てはめると、典型的なモダンタイプのお酒である。ところが今回は、香りほのか、さらり軽快きれいな口当たりで旨みが適度にある、という落ち着いた酒質、モダンタイプとは真逆の味わい。すなわち、ラベルで標榜している通りクラシックタイプのお酒だったのだ。

 モダンタイプもクラシックタイプも醸す「二刀流」。さすが、富久千代酒造。なかなかできることではない。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール分15度、使用米 白菊100%、精米歩合60%、製造年月2021.06」。

 使用米の「白菊」(しらぎく)は、愛知県農事試験場が1938年、母「巴新力」と父「菊水」を交配。育成と選抜を繰り返し、わずか5年後の1943年に命名された酒米だ。

 酒名「鍋島」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「(前略)1997(平成9)年4月、目標とする酒はできたのですが、肝心の銘柄を決められないでいました。(中略)新しい銘柄は、一般公募で決めることになり、地元の佐賀新聞社様に記事(平成9年10月17日)として取り上げていただきました。(中略)寄せられた150に及ぶ候補の中から、コンセプトの『佐賀を代表する地酒を目指して』にふさわしい名前として、『鍋島』を選ばせていただきました。江戸時代、約300年にわたって佐賀藩を統治した鍋島家にちなんだもので、『鍋島』の商標使用にあたっては、財団法人鍋島報效会を通じて鍋島末裔の方に快く了承していただきました。1998(平成10)年4月、構想から三年を経て、ついに『鍋島』デビュー。(後略)」

酒蛙

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