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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4663】田酒 純米吟醸 三ツ友恵 豊盃(でんしゅ)【青森県】

2021.11.20 16:59
青森県青森市 西田酒造店
青森県青森市 西田酒造店

【うなぎ屋にて 全3回の①】

 いつものように、ふらりと近所のうなぎ屋さんへ。うなぎはもちろんだが、店主の隠し酒が楽しみだ。いつも、数本の日本酒を抱えて持ってきて、わたくしに選ばせる。今回持ってきたのは、3本セットの「三ツ友恵」(みつどもえ)だった。

 これは、青森県を代表する「田酒」「陸奥八仙」「豊盃」という3蔵の合同企画プロジェクト。この3蔵がそれぞれ独自に契約栽培している酒米「レイメイ」(八仙)、「古城錦」(田酒)、「豊盃米」(豊盃)があり、3蔵がそれぞれを提供し合い、「純米吟醸」「精米歩合55%」「アルコール分16%」という同じ条件で醸す、まさかのコラボレーション。普段ライバルである3蔵が心を一つにしてこのプロジェクトに取り組み、青森県の酒類業界、飲食業界、更には地元地域を一緒に盛り上げようという思いが込められている。

 ライバル蔵が、通常流通していない酒米を提供し合い醸すという全国的にも珍しい企画だ。まず、八戸酒造(陸奥八仙)だけが契約栽培している「レイメイ」というコメを3蔵が使って醸したお酒が第一弾として売り出された。第二弾は西田酒造店(田酒)だけが契約栽培している「古城錦」というコメを3蔵が使って醸したお酒、そして今回の第三弾は三浦酒造(豊盃)だけが契約栽培している「豊盃」というコメを3蔵が使って醸したお酒として売り出された。

 今回の使用米「豊盃」は青森県農業試験場が1967年、母「古城錦」(その母は五百万石)と父「レイメイ」(主食用米)を交配、1976年に命名された。現在は、契約栽培で、この三浦酒造しか使用していない。1976年当時の青森県知事竹内俊吉氏の地元(旧・木造町、現・つがる市)の津軽民謡の「ホーハイ節」から、当て字で「豊盃」と命名された。

 では、いただいてみる。フルーティーな上立ち香は、ほのか。さらりとした口当たり。味わいは、あまり主張しない甘旨酸っぱさ、そしてジューシー。酸が強めに出ており、スパっとキレる。抜群の切れ味。味に膨らみがあるが、重くはなく、軽快感がある。田酒は、コク(旨み)のある酒として知られているが、今回の酒は、田酒としては珍しく軽快感のある酒に仕上がっている。

 瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 豊盃100%、アルコール分16度、精米歩合55%、製造年月2021年6月」

 酒名「田酒」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「『田』はもちろん、酒の元となる米が獲れる田んぼを意味し、名前の通り、日本の田以外の生産物である醸造用アルコール、醸造用糖類は一切使用していないことを力強く主張した、米の旨みが生きる旨口の純米酒です。『日本酒の原点に帰り、風格ある本物の酒を造りたい』という一念で、昭和45年に昔ながらの完全な手造りによる純米酒の醸造に着手。その後、商品化までに3ヶ年を費やし、発売は昭和49年10月1日でした」

 ラベルの「田酒」の字は、竹内俊吉・元青森県知事の筆による。

酒蛙

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