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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4653】播州一献 純米吟醸 愛山 澱絡み 生酒 鈴木三河屋限定(ばんしゅういっこん)【兵庫県】

2021.10.30 17:58
兵庫県宍粟市 山陽盃酒造
兵庫県宍粟市 山陽盃酒造

【B居酒屋にて 全7回の⑦完】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられている様子だが、飲み手としては、すこしでも支援になるよう定期的に通うことしかできない。早くコロナ禍が過ぎ去り、にぎわいを取り戻してもらいたい、と切に願う。

「麒麟山」「刈穂」「寒紅梅」「大倉」「やまとしずく」「三諸杉」と飲み進め、最後7番目にいただいたのは「播州一献 純米吟醸 愛山 澱絡み 生酒 鈴木三河屋限定」だった。「播州一献」は当連載でこれまで、10種類を取り上げている。総じて、酸が出るしっかりした味わいの酒、というイメージを持っており、好感を抱いている。

 今回のお酒は、当連載【3464】で取り上げた「播州一献 純米吟醸 愛山 生酒 澱絡み」と同じだが、3年前のことなので、あらためてのテイスティング結果を掲載することにした。

 冷蔵庫から取り出し、瓶を全然振っていないのに、開栓したら、ポーンというけたたましく大きな音を立てて、栓がぶっ飛んだ。天井を直撃。跳ね返り床の上をころころ転がった。圧倒的なガスの威力に仰天だ。

 さて、いただいてみる。ものすごくきれいな吟醸香。きれいなフルーツ香。若いバナナ香とパイン香が混じったような香りだ。香りがきれいなので上品感がある。微発泡が舌をチリチリ刺激する。まさにフレッシュ。やわらかな口当たり。きれいな味わいで、味の各要素が十分出ているが、とくに旨みと酸がいい感じで出ておりジューシー。旨みと酸のバランスは抜群だ。キレが良く、余韻の苦みも良い。「播州一献」の銘柄全般に感じる力強さは、さほど感じられないが、逆に飲みやすさにつながっている。さりげない旨さを醸し出しているのも、飲みやすさのひとつの要因とおもう。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「播州産愛山を低温醗酵にて醸し、フレッシュな澱を絡ませた限定出荷の生。滑らかな舌触りが夏場に爽やかに感じられる一品です」
 
 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール分15度、精米歩合50%、原料米 播州産愛山100%、醸造責任者 壺阪雄一、製造年月2021.6」。

 使用米の「愛山」は、兵庫県立明石農業改良実験所が1941年、母「愛船117」と父「山雄67」を交配。太平洋戦争を経て1949年に品種を固定した。母方の父は雄町系、父方は雄町と山田錦の子という、全身に山田錦と雄町の“血”がたっぷり入っている、酒米界のサラブレッド的出自を誇る。玄米が大粒で、山田錦と同等かそれ以上の、米粒の重さと、米糠割合の少なさのため、酒造効率が良く、酒造に非常に適している、という評価が高かった幻の品種。現在は、兵庫県のごく一部の生産者だけが栽培している。希少品種ゆえ近年、人気が高まりつつあり、「愛山」を使う蔵が急上昇中だ。

 酒名「播州一献」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「播州一献とは、『播州地域(兵庫県南西部)の豊かな自然の恩恵を受け、作られたお米、播州の水を使い、地酒本来の良さを大切に手間・ひまを惜しまずに醸したお酒をどうぞ』との思いから名付けられました。『いっこん』とは、よく時代劇とかで『ささ、一献』って言っているの見かけたことはないでしょうか? 『いっぱいのお酒』という意味もあります。(三省堂国語辞典より) なので、播州一献とは、”播州産の米と水を使った播州のお酒を、一献どうぞ”という意味です」

酒蛙

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