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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4652】三諸杉 特別純米 山乃かみ酵母使用(みむろすぎ)【奈良県】

2021.10.28 11:11
奈良県桜井市 今西酒造
奈良県桜井市 今西酒造

【B居酒屋にて 全7回の⑥】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられている様子だが、飲み手としては、すこしでも支援になるよう定期的に通うことしかできない。早くコロナ禍が過ぎ去り、にぎわいを取り戻してもらいたい、と切に願う。

「麒麟山」「刈穂」「寒紅梅」「大倉」「やまとしずく」と飲み進め、6番目にいただいたのは「三諸杉 特別純米 山乃かみ酵母使用」だった。今西酒造のお酒は当連載でこれまで、14種類を取り上げており、うち「みむろ杉」が10種類、漢字の「三諸杉」が1種類。平仮名と漢字をどのような基準で使い分けているのだろう。隔靴搔痒、すこしイラっとくる。今西酒造のお酒には、総じて、濃醇で分厚い口当たりの、しっかりした味わいの酒、というイメージを持っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 酒蛙「やわらかな口当たり。これまでの経験から濃醇酒と予想して飲んだが、それほど濃醇でないのにびっくり」
 仲居さん「どこかにフルーティーな部分がある」
 酒蛙「穏やかな含み香の中にセメダイン(酢酸エチル)をすこし感じる。フレッシュ感があり、酸がいい感じで出ている。ジューシーな飲み口。余韻に苦み。ボディはミドル級(なんだかボクシング記事みたいだ)。『みむろ杉』『三諸杉』にしては、予想外に軽い口当たりだ。これは驚いた」

 使用酵母「山乃かみ」について、大神神社の宮司さんが、瓶の表ラベルで以下のように説明している。

「平成24年春に三輪山の麓、大神神社の神域においてササユリの花から酵母の分離を試み成功いたしました。その後の研究で、清酒醸造に適した奈良県独自の酵母であることがわかりました。
 この事から『うまさけ三輪』と云われる故事に鑑み、お酒に縁深い聖地の名称を考慮し『山乃かみ』と命名いたしました。悠久の歴史に想いを馳せながら『山乃かみ』をお愉しみください。     大神神社 宮司鈴木寛治」

 裏ラベルでは「三輪を飲む」と題し、この酒を以下のように紹介している。

「酒の神が鎮まる地 奈良・三輪で360有余年醸す酒『三諸杉』。仕込み水は蔵内井戸から湧き出る御神体『三輪山』の伏流水、米は奈良県唯一の酒造好適米『露葉風』を100%使用。
 三輪山の麓で唯一酒造りをしている当蔵だからこそ醸造出来るとことん『奈良・三輪』にこだわった特別純米酒です」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 奈良県産露葉風100%、アルコール分15度、精米歩合60%、製造年月2020.12」。

 使用米の「露葉風」(つゆはかぜ)について、「風の森 露葉風 純米大吟醸 しぼり華 無濾過無加水生酒」(当連載【3864】)の裏ラベルは以下のように説明している。「奈良県のみ生産される酒米、露葉風。心白がとても大きく、調和のとれた複雑味のある味わいがその特徴です。ただ綺麗なだけではなく、奥行きと立体感のある酒質をお楽しみください」。「露葉風」は愛知県農業試験場が1953年、母「白露」と父「早生双葉」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1963年に命名された酒造好適米だ。

 酒名「三諸杉」(みむろすぎ)の名の由来について、日本の名酒事典は「酒名は、三輪山の別称『三諸』と、酒の神を祀る大神(おおみわ)神社の御神木「杉」を合わせて命名」と説明している。

酒蛙

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