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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4642】不老泉 純米吟醸 生原酒 木槽天秤しぼり(ふろうせん)【滋賀県】

2021.10.7 20:22
滋賀県高島市 上原酒造
滋賀県高島市 上原酒造

【父の日プレゼント 全8回の⑤】

 息子が2013年から毎年、父の日に、カップ酒の詰め合わせを送ってくれる。毎年8種類ずつ。これがとても楽しみだ。ありがたい。感謝感激だ。ことしで9年目。重複したものが無いから、これで72種類。いつネタが尽きるんだ? カップ酒の世界はなかなか奥が深そうだ。

 一日1個ずつ、大事に飲む。「福祝」「月の輪」「日高見」「来福」と飲み、5番目にいただいたのは「不老泉 純米吟醸 生原酒 木槽天秤しぼり」だった。「不老泉」は、当連載でこれまで、9種類を取り上げている。この蔵は「山廃仕込」のイメージがかなり強いため、今回のお酒が山廃ではないことにびっくりしたほど。「不老泉」には、酸が立つしっかりした味わいの酒、という印象を持っている。さて、今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 甘旨酸っぱい味わい。これが第一印象だった。甘旨酸それぞれの味が濃いめで、かなりしっかりした、そしてかなり複雑な味わい。ふくよかな口当たりで、分厚い酒質。余韻は辛みと酸。熟成感があり、古本屋的木香的な香りが極めて特長的。上立ち香はほとんどしない。しかし、含み香は、古本屋的木香的なばあちゃんのタンスの香り。不老泉のDNAが存分に発揮されており、実にいい。旨い。飲みごたえ十分のお酒だ。

 カップの裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「速醸の純米吟醸ですが、使用した酵母は当社山廃仕込のもろみから分離した蔵付酵母を使用しています。不老泉は全量木槽天秤しぼりでもろみをしぼっております」

「木槽天秤しぼり」と書かれているが、一般的には分かりにくい。蔵のホームページで説明しているので、以下に転載する(これでも分かりにくいが)。

「木槽天秤しぼり(きぶねてんびんしぼり)の木槽(きぶね)とは、厚さ10センチの桜材で作った、縦3.5メートル、横1メートル、高さ1.2メートルの木舟のようなもので 一方に酒の出る口が付いてあります。その中に もろみの約8リットル入った袋を何百枚も積み重ねて、天秤の原理を応用して搾る、昔ながらの方法で3日間かけてゆっくりと搾ります。機械しぼりの約85%しかしぼれませんが、出てきた酒は雑味のない旨い酒となります。しかし、蔵人は大変な技術と労力が必要な仕事なのです。そのため、今では全国で3社のみになってしまいましたが、上原酒造は旨い酒造りのために今後ともこの方法を続けて参ります。機械搾りは1回の工程は1日で充分、特別な技術もいらず機械が自動的にすべてやってくれる合理的(能率的)な方法ですが、合理的のみに頼っているのも……?」

 カップの裏ラベルのスペック表示は「アルコール分17度、原料米 山田錦、精米歩合55%、製造年月3年6月」。

 酒名の由来について、蔵のホームページは「お地蔵さんが出られた蔵内の自噴井戸より命名」と説明しているが、よく分からない。一方、コトバンクは「初代当主が酒造りのための井戸を掘った際、地蔵尊が現れるとともに清水が湧き出 たことを喜び『不老の泉』と名付けたという言い伝えに由来」と説明している。

酒蛙

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