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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4635】繁桝 純米大吟醸 吟のさと 50(しげます)【福岡県】

2021.9.24 21:24
福岡県八女市 高橋商店
福岡県八女市 高橋商店

【Z料理店にて 全6回の④】

 近所のZ料理店に顔を出す。「うちは居酒屋じゃないんだからね。居酒屋みたいにいっぱいの種類の酒を置いてないんだからね」と言いながらも、予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。が、長引くコロナ禍で、かつてない苦しい経営を強いられている。しかし、客としてはどうすることもできず、歯がゆいおもいが募るばかり。せめて定期的に顔を出すしか手立てはない。

「加賀鳶」「豊明」「明鏡止水」と飲み進め、4番目にいただいたのは「繁桝 純米大吟醸 吟のさと 50」だった。「繁桝」は当連載で11種類を取り上げており、うち5種類は、このZ料理店で飲んでいる。つまり、Z料理店の店主が「繁桝」が好きなのだ。店主は「『繁桝』は、料理の味を邪魔しないからいいんだ」と「繁桝」を置いている理由を話す。「繁桝」のわたくしのイメージは総じて、地味めでまったり落ち着き感のある酒質。たぶん店主が言っていることと、わたくしが言っていることは同じなんだとおもう。さて、今回の酒はどうか。いただいてみる。

 甘みと旨みが良く出ている。これが第一印象だった。後ろに辛みがほのか。ふくよか、やわらか、丸い口当たり。最初のうち、酸はほとんど感じられなかったが、温度が上がってきたら次第に酸が感じられるようになり、甘旨酸っぱくジューシーな味わいに。余韻は甘みと辛み、そしてほのかな酸。やはり、「繁桝」の持ち味であるところの、落ち着き感のある酒だと感じた。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「酒造米の新種『吟のさと』は九州沖縄農業試験場(筑後市)で酒造好適米山田錦と山田錦の血を引く西海222号の交配から育成されたお米です。また、八女・筑後地区で生産された『吟のさと』は福岡県の酒造好適米に認定されています。この『吟のさと』で醸したお酒は、山田錦で造ったお酒同様の味のきれいさと切れの良さを楽しめるお酒です」

 使用米の「吟のさと」は、(独)農研機構九州沖縄農業研究センター筑後研究拠点稲育種ユニットが1996年、母「山田錦」と父「西海222号」(母は『山田錦』)を交配、選抜と育成を繰り返し開発。2010年に品種登録された新しい酒造好適米だ。“血”の4分の3が「山田錦」で占められているコメである。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合50%、アルコール分16度、原料米 吟のさと100%使用、製造年月2021.4.07」。

 酒名「繁桝」の由来は、10代目当主で蔵を会社組織に改組した高橋繁太郎の「繁」をとり、酒を量る「桝」と合わせて命名されたもの。

酒蛙

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