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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4615】田光 純米吟醸 出羽燦々 無濾過生酒 2020BY(たびか)【三重県】

2021.8.15 22:59
三重県三重郡菰野町 早川酒造
三重県三重郡菰野町 早川酒造

【Z料理店にて 全5回の③】

 近所のZ料理店に顔を出す。「うちは居酒屋じゃないんだからね。居酒屋みたいにいっぱいの種類の酒を置いてないんだからね」と言いながらも、予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。が、長引くコロナ禍で、かつてない苦しい経営を強いられている。しかし、客としてはどうすることもできず、歯がゆいおもいが募るばかり。せめて定期的に顔を出すしか手立てはない。

 今回は6種類のお酒をいただいたが、うち1種類は最近飲んだばかりのお酒なので、ここでは5種類を紹介する。まず最初に選んだのは「加賀の井」、次に飲んだのは当連載【4345】の「酔鯨 純米吟醸 吟麗 summer」(2020年9月22日付掲載)。そして、「栄光冨士」をいただき、4番目にいただいたのは「田光 純米吟醸 出羽燦々 無濾過生酒 2020BY」だった。

 早川酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載ではこれまで18種類のお酒を取り上げている。うち「田光」が13種類、「早春」が4種類。ともにしっかりとした味わいの酒で、わたくしは好感を持っている。「早春」は主に地元、「田光」は大都市圏を想定し、出荷している、という。さて、今回のお酒を味わってみる。

 やわらかながらさっぱりとした口当たり。舌先をすこしチリチリ、微発泡が刺激する。フレッシュ感たっぷり。派手さは無く、落ち着いた酒質という印象だ。甘みあり、旨みあり。ジューシー。とくに旨みと苦みを感じ、中でも余韻の苦みが良い。じわり旨い。セメダイン(酢酸エチル)、若いバナナ、パインなどが混ざったような穏やかな香りがあり。この日に飲んだ「加賀の井」「栄光冨士」と同じようなモダンタイプに属する旨口タイプの酒質だが、今回の「田光」はそれらより大人しい。くどくはなく、すっきり、キレも良く、ずばり、食中酒に適したお酒だ。

 瓶の裏ラベルは、この蔵の酒造コンセプトを以下のように載せている。「鈴鹿山脈釈迦ケ岳の山おろしと伏流水の恵みを受け、全量純米醸造総槽搾りの酒造りをしています。それぞれのお米の特徴を引き出し お酒全体のバランスを大切に 心からの蔵元の想いをお届けします」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 出羽燦々(山形県産)100%、精米歩合50%、アルコール分16度、製造年月2021.5月」。

 使用米の「出羽燦々」は山形県立農業試験場庄内支場が1985年、母「美山錦」と父「華吹雪」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定、1997年に種苗法登録された酒造好適米だ。

 三重県の酒蔵が、山形県が開発した酒米を使用するのは非常に珍しい。ネット情報によると、早川酒造の杜氏 早川俊人さんは、「上喜元」で知られる山形県酒田市の酒田酒造で酒造りを学んだ。その関係で山形県の酒米とつながりができたのだろう。

 酒名「田光」は、三重郡菰野町にある地名や蔵の近くを流れる川の名に由来するものとおもわれる。

酒蛙

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