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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4602】十四代 純米吟醸 酒未来 生詰(じゅうよんだい)【山形県】

2021.7.20 22:05
山形県村山市 高木酒造
山形県村山市 高木酒造

【E居酒屋にて 全6回の➁】

 E居酒屋では「ちょい飲みセット」という企画を設けている。3種類の酒を60ML(たぶん)ずつグラスに入れ、お客さんに味比べ(利き酒)をしてもらおう、という趣向。その中に「ちょい飲み十四代セット」があった。嗅覚が並外れて敏感なちーたんが「十四代セット」に強い関心を示した。ならば、飲みに行こうじゃないか。

 当然、まずは「ちょい飲み十四代セット」から、だ。「十四代」は飲む機会がけっこう多く、当連載でこれまで、15種類を取り上げている。軽そうな「十四代 吟撰 吟醸 生詰」をまず選び、次に「十四代 純米吟醸 酒未来 生詰」だ。

 この酒造好適米「酒未来」は、「十四代」の蔵元さんが開発したものだ。これについて、ウィキペディアは、「1999年、民間機関開発。高木酒造の高木辰五郎が山酒4号/美山錦を交配して育種。米雑穀卸業の株式会社アスクが商標登録の権利を有する」と説明している。

 また、地酒屋サンマートのサイトの中にある「お酒用語集」では、以下のように説明している。「『十四代』で知られる山形県の高木酒造の高木辰五郎社長が、『山酒4号』『美山錦』を交配して育種した酒造好適米。自社で交配、育成し、地元の山形県内で栽培した酒造好適米を用いた日本酒を醸造することにより、全国に山形の清酒をアピールする目的で誕生。酒造会社自ら酒米の交配、育種を手掛けた例は全国的でも珍しく、『龍の落とし子』と兄弟系統にある『酒未来』は、山田錦の交配種にあたり、品種改良によって山田錦の系統を受け継いだ醸造適正が非常に優れた酒造好適米です」

 母「山酒4号」と父「美山錦」を交配した結果、「酒未来」が誕生したわけだが、「山酒4号」は、「金紋錦」と「山田錦」を交配して生まれた。ということで、「酒未来」は「山田錦」の孫に当たる。

 ちなみに高木氏は同じ時期に「龍の落とし子」と「羽州誉」という酒米も交配・開発しており、「酒未来」も含め、3部作といわれている。「酒未来」の育成・開発には18年もの歳月を費やした、という。

 高木酒造のすごいところは、こうして自社開発した「酒未来」を独り占めせず、全国の実力蔵に「酒未来」を提供し、醸してもらっていること。例えば、当連載の中だけでも「酒未来」の提供を受けて醸された酒は、而今蔵、東洋美人蔵、三井の寿蔵、宝剣蔵、鳳凰美田蔵、写楽蔵、奈良萬蔵、天青蔵、花邑蔵を数える。さらに同じ山形県内のライバルでもある山形正宗蔵、くどき上手蔵、惣邑蔵、羽陽男山蔵にも提供するという肝っ玉の大きさをみせている。この「酒未来」で日本酒業界を盛り上げようという蔵元さんの熱いおもいが伝わってくる。

 そして、今回の「十四代 純米吟醸 酒未来 生詰」は、まさに、自分の蔵で醸した「酒未来」だ。変な言い方をすれば、これで美味しくなければ嘘だ。満を持しての自信作登場、といったところだ。さて、いただいてみる。

 ちーたん「香りは女の子。かわいくて、やわらかい香り。味の広がりが独特だ」
 酒蛙「ん? この上立ち香は何だろう。いい感じだ」
 ちーたん「花系」
 酒蛙「うん、そうだ。フローラルだ。それにメロンがすこし。含んだら『これは旨い!』とおもわず口に出ちゃったよ」
 ちーたん「味が立体的だ。味の広がり方にびっくりだ」
 酒蛙「甘旨酸っぱくてジューシー。舌の両側から、旨みと酸が、じゅわじゅわ浸透してくるよぉ!」
 ちーたん「その表現、よく分かる」
 酒蛙「口当たりはまろやか。余韻は軽い苦み。エンディングも上品で、キレが良い」

 瓶の裏ラベルには「酒未来」の系統図を掲載している。なんと3代前までさかのぼっての系統図。自分たちがこの酒米を開発した、という強烈な自負が伝わってくる。

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合50%、原料米 山形県産酒未来80%使用、アルコール分15度」。

 酒名「十四代」の由来について、ウィキペディアは以下のように説明している。

「高木酒造では、最初は『朝日鷹』という銘酒だった。当時、『十四代』という銘酒もあったが、特別の古酒だけに付けていた。現在の『十四代』は、14代目・高木辰五郎から15代目・高木顕統へと受け継がれ、杜氏として初めて完成した酒に『十四代』と命名した」。

 また、「日本の名酒事典」は以下のように説明している。「元和元年(1615)創業の老舗だが、主力となる『十四代』は平成5年(1993)より販売された新しい銘柄。酒名は当主が14代目にあたることから命名された。東京で酒造を学んだ15代目が、ベテラン蔵人に支えられ、古い製法にこだわらず自らの造りたい酒を信じるままに造ったところ、その酒が高く評価され、主要銘柄となった」

酒蛙

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