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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4599】黒牛 純米吟醸 使用米雄町100% 生原酒(くろうし)【和歌山県】

2021.7.14 22:24
和歌山県海南市 名手酒造店
和歌山県海南市 名手酒造店

【Z料理店にて 全6回の⑤】

 近所のZ料理店に顔を出す。「うちは居酒屋じゃないんだからね。居酒屋みたいにいっぱいの種類の酒を置いてないんだからね」と言いながらも、予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。今回も「本当に本当に居酒屋じゃないんだからね、あんたのために酒を入れているんじゃないからねっ!」と半ば恫喝的に先制パンチを繰り出したが、むろん演技に決まっている。

「サビ猫ロック」「山本」「雄東正宗」「寒菊」と飲み進め、5番目にいただいたのは「黒牛 純米吟醸 使用米雄町100% 生原酒」だった。「黒牛」は、当連載でこれまで、5種類を取り上げている。今回のお酒は、当連載【3934】で取り上げているが、ちょうど2年たったので、再度取り上げてみることにする。前回も今回も、同じZ料理店で飲んだものだった。今回のテイスティング結果は以下の通り。

 酸が非常に良く出ている。キレが非常に良く、スパッとキレる。含み香は、若いバナナのような、あるいはセメダイン香(酢酸エチル)のような、フルーティーな香りが口の中いっぱいに広がる。樽香に似たようなニュアンスも感じる。旨みも適度に出ており、酸と旨みのバランスが良い。余韻は苦み。この苦みが長く続く。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合50%、原料米 雄町(100%)、アルコール分17.5%、日本酒度+6.0、酸度1.6、アミノ酸度0.8、使用酵母 協会9号系、杜氏 岡井勝彦(能登杜氏組合)、仕込水 万葉黒牛の水 蔵内井戸、製造年月2021.4」。

 表ラベルには、以下のように酒名「黒牛」の由来を説明している。

「酒名は万葉集で詠まれた黒い牛の形をした岩が蔵の近くにあったことに因んでいます。また、漆器の街、黒江の町名由来でもあり、蔵所在の町内会名として残っています」

「黒牛 純米」(当連載【3762】)では、以下のようにもっと詳しく由来を説明している。

「約1300年前の万葉の昔、蔵の周辺は美しい入り江で黒い牛の形をした岩が波に洗われていたそうです。黒牛潟として万葉集にも詠まれていました。【黒牛潟 潮干の浦を 紅の 玉裳裾引き 行くは 誰が妻(詠み人知らず 万葉集巻九)】 その後海は干上がり、『黒牛』を名の由来とする黒江の町となり室町時代から、ぬりものの町として栄えることとなります。万葉の昔を偲べる味わいをめざし、地名の由来でもあることから酒銘としたものです」

酒蛙

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