【4596】山本 純米吟醸 生原酒 ストロベリーレッド(やまもと)【秋田県】

【Z料理店にて 全6回の➁】
近所のZ料理店に顔を出す。「うちは居酒屋じゃないんだからね。居酒屋みたいにいっぱいの種類の酒を置いてないんだからね」と言いながらも、予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。今回も「本当に本当に居酒屋じゃないんだからね、あんたのために酒を入れているんじゃないからねっ!」と半ば恫喝的に先制パンチを繰り出したが、むろん演技に決まっている。
最初に選んだのは、お茶目な「サビ猫ロック 赤サビ オルタナ純米 無ろ過 瓶火入53℃」。2番目は「山本 純米吟醸 生原酒 ストロベリーレッド」だ。山本酒造店のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで、20種類を取り上げている。その中でも今回と同じ「山本」が一番多く、パンチ力のある濃醇酸味酒とのイメージが強い。近年、目覚ましい躍進を遂げており、わたくしの好きな銘柄の一つだ。では、いただいてみる。
甘旨酸っぱい。これが第一印象。はつらつとした酸が特長で、甘みも良く出ている。マイルド、やわらか、ふくよかな口当たり。フルーティー&ジューシー。サイダーを感じる味わい。舌先に若干、チリチリ来る。フレッシュで穏やかなお酒。余韻は酸。最後の最後は苦み。非常にバランスのとれた酒。ヤンチャな部分が無く、いかにもモダンタイプのミディアムボディといった酒質。酒単体でも十分飲める。また、飲み飽きしない酒。
瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。
「この商品はピュアブラックやミッドナイトブルーの姉妹品で、使用する酒米や精米歩合は同じものを使用していますが、麹に焼酎用の白麹を使用しています。甘酸っぱいファーストキスのような味は、レモンをはじめ柑橘類に多く含まれているクエン酸によるもので、疲労回復や美容にも効果があると言われています。この商品はしぼりたての生酒ですので、お飲みになるまでは冷蔵庫にて保管してください」
はつらつとした酸は、白麹に由来するものだったのだ。
裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(秋田県産)米麹(秋田県産米)、精米歩合 麹米50% 掛米55%、アルコール分15度、製造年月2021.3」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。しかし、蔵のホームページでは「使用米:秋田酒こまち秋田県産」と開示している。
この蔵の主銘柄は2021年現在では、「山本」になっているが、以前の主銘柄は「白瀑」だった。「白瀑」の由来について、ウェブサイト「『日本の名酒』自宅にいながら蔵元巡りの旅」は、「酒名は、蔵の近所の白瀑神社にある滝『白瀑』の名に由来しているそうです」と説明している。