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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4594】國稀 純米吟醸 北海道産吟風使用(くにまれ)【北海道】

2021.7.2 23:44
北海道増毛町 国稀酒造
北海道増毛町 国稀酒造

 北海道札幌市に住む友人Sさんからお酒をいただいた。贈り物で一番うれしいのはお酒。だから、大いに喜び、ありがたくいただいた。一晩で飲んでしまうのはもったいないので、2回に分けて自宅晩酌としていただいた。

 国稀酒造のお酒は当連載でこれまで3種類を取り上げている。超有名な地酒蔵なのにわずか3種類しか取り上げていなかったとは意外だった。1種類は札幌市の居酒屋で、もう1種類は函館市の居酒屋で、そして最後の1種類は当地での飲み会でいただいたものだった。「國稀」は道内消費が多く、道外にはあまり出回っていないのだろうか。

「國稀」は、超有名地酒である。なぜなら、日本最北の地酒だから。ちなみに、「国稀酒造」(増毛町)は北緯43.858度に立地している。2番目に北の蔵は、新興の「上川大雪酒造十勝工場(碧雲蔵)」(帯広市)で北緯43.843度に位置している。その差0.015度。極めて荒っぽい計算をしてみたら、距離にすると2.8km差だ。

 さて、いただいてみる。すっきり、あっさりした、さわやかな口当たり。これが第一印象だった。含み香に、清涼飲料水をそこはかとなく感じるフレッシュさがある。和梨をおもわせるフルーティーな香味。すっきりした口当たりではあるが、しっかりとした味わいも持ち合わせ、けっこう飲みごたえがある。軽快感がありながら、旨み、酸味、辛みのバランスが良い。余韻は辛苦み。バランスが良い中でも、とくに旨みと辛みが良く出ている。

 それから4日後、残り半分をいただいてみた。上立ち香は、フルーティーな香りが広がる。味わいは甘・旨・酸・苦・辛のバランスが良く、まろやか、ふくよか、やわらかな口当たり。4日前の第一印象は、すっきりとした口当たりだったが、4日後は丸みが出てきた。とろみ感も出てきた。これは開栓したことによる酸化デキャンタ効果なのかもしれない。味わいでは、とくに甘みが出てきた。さらに飲み続けると、旨酸っぱいモダン寄りの味わいになっていく。こうして、ありがたく完飲した。ありがとうございます、Sさん。

 瓶のラベルのスペック表示は以下の通り。「香り 穏やか、味わい 軽快、甘辛 やや辛口、飲み方 冷して 室温、アルコール分15.5度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 北海道産 吟風100%、精米歩合50%、北海道限定、製造年月21.02」。

 使用米の「吟風」(ぎんぷう)は、北海道立中央農業試験場が1990年、母「八反錦と上育404号の子」と父「きらら397」(主食用米)を交配、選抜と育成を繰り返し品種を固定。1999年に命名、2002年に品種登録された、北海道で栽培されている酒造好適米だ。

 このお酒が入っていた箱には、以下の紹介文が書かれている。「吟風は平成12年に誕生した北海道を代表する高品質な酒造好適米(酒米)です。酒造好適米は、食用米と違った特徴を持つ酒造りに適したお米です。『純米吟醸 国稀』は北海道の大いなる自然に育まれた、北海道の地酒にふさわしい清々しい味わいの吟醸酒です」

 また、蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「【北海道内通年販売商品】北海道の大いなる自然に育まれ、厳寒の暑寒別岳連峰を源とする清らかな水と、北海道を代表する酒造好適米『吟風』が醸す北海道の地酒にふさわしい清々しい味わいの純米吟醸酒。
 【2020北海道北のハイグレード食品 受賞商品】『北のハイグレード食品』は、一流シェフやカリスマバイヤーなど『食』分野の第一人者たちが集う北海道の『食サポーター』等による選考を経て、北海道産食品のトップランナーを選定。道内の食材を生かして道内企業が製造する優れた食味、高い品質管理、強い消費者訴求力を備えた商品が賞を受けます」

 酒名「國稀」の由来(蔵名は国稀酒造)について、蔵のホームページは以下のように説明している。そこには、ドラマがあった。ちょっと長いが、そのまま、以下に貼り付けてみる。

「現在、当社の社名ともなっている酒の代表銘柄の『國稀』も、その昔は『國の誉』でした。『國稀』という名の酒が、乃木希典元陸軍大将の名前にちなんで、定番の商品名として登場したのが大正9年のことです。明治35年、旭川の第7師団は盛岡の第8師団と共に、寒さに強いという理由で日露戦争に出征します。この第7師団にはたくさんの増毛町民(国稀酒造の所在地)が入隊しており、激戦地ともなった203高地での死者数も多数となりました。戦後、戦没者を弔うために慰霊碑を建てる話が持ち上がり、当社創業者である本間泰蔵がその発起人となったのです。町民の寄付を募り費用をまかない、明治40年頃、泰蔵が東京の乃木希典元陸軍大将に碑文の揮毫の依頼に赴きました。実際に面会し乃木大将の人格に大きな感銘を受けた泰蔵は、増毛に戻り、乃木希典の希の一字をもらい『國の誉』を『國稀』と改めました。『希』ではなく『稀』としたのは、そのまま使用するのはおこがましいと考えたためで、『のぎへん』をつけて『国に稀な良いお酒』という意味合いももたせました」

 いい話である。

酒蛙

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