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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4586】新政 廻 純米 平成30年度東北清酒鑑評会優等賞受賞酒(あらまさ かい)【秋田県】

2021.6.16 21:43
秋田県秋田市 新政酒造
秋田県秋田市 新政酒造

【E居酒屋にて 全8回の⑧完】

 E居酒屋で日本酒研究会の月例会を開いており、毎月6種類の酒を飲んでいる。しかし、月例会用の酒とは別に冷蔵庫には新たな酒が入る。E居酒屋のママは頃を見計らって連絡をくれる。「冷蔵庫のお酒の入れ替えしたので、ご都合の良いときにいらっしゃい」。ということで、連絡をもらったわたくしは、おっとり刀で駆けつけた。今回も、人並み以上の嗅覚を発揮する酒友ちーたんにテイスティングしてもらった。

「長門峡」「月桂冠」「天明」「澤屋まつもと」「鷹来屋」「イモリ谷」「竹泉」と飲み進め、最後8番目にいただいたのは「新政 廻 純米 平成30年度東北清酒鑑評会優等賞受賞酒」だった。「新政」は飲む機会が非常に多く、当連載でこれまで、25種類もの多くを取り上げている。

 この蔵の蔵元さんは、日本酒ニューウェーブの旗手の一人であり、強い影響力を他蔵に与えている。同蔵発祥の協会6号酵母に強い誇りを抱き、醸す酒には6号酵母だけを使用している。さらに、近年、全量生酛づくりを標榜。このように自分に“しばり”をかけながらもなお、高水準の酒を醸し続けている“頑固蔵”だ。さて、今回のお酒をいただいてみる。

 酒蛙「上立ち香は、バナナ香をおもわせる。穏やかでやわらかな甘みと酸が良い。ラベルのスペックをみると、精米歩合40%。うわっ、こりゃ高そうだ」
 ちーたん「うん、バナナいるね。香りは適度。渋みが良い」
 酒蛙「渋みもいいけど、苦みも良い。キレ良し」
 ちーたん「辛みも感じる。飲んでからの余韻は、日本古来のオオヤマザクラのような香りだ」
 酒蛙「甘み、旨み、酸、それとともにバナナかセメダイン(酢酸エチル似の芳香)のようなフルーティーな香りが印象的。しかし味が出過ぎず、かといって薄すぎず。そして、きれいな味わい。微妙なバランスの上に立つ上品さがこの酒の特徴。これを生酛で造っているのがすごい」

 優等賞もうなずける酒質だった。精米歩合40%は、純米大吟醸を名乗るに十分過ぎるほどのスペックだが、あえて純米を名乗っているところに、蔵元さんのこだわりを感じる。

 瓶の裏ラベルの目立つ場所に《このお酒は、2018年10月に開催された東北清酒鑑評会において優等賞に輝いたお酒です》と印字。このほか、近年、新政蔵のどのお酒にも書かれている“口上”を、以下のように載せている。「当蔵は素材の魅力を最大限に表現するため、生酛造り・純米造りに徹しております。使用しても表示する義務がない以下の添加物・・・酸類(醸造用乳酸など)・無機塩類(硝酸カリウムなど)・酵素剤(アミラーゼなど)を用いることはありません」

 裏ラベルのスペックは、「アルコール分15度(原酒)、原料米 秋田県産 美山錦100%使用(2017年 秋田市河辺鵜養地区収穫)、原材料名 米(秋田県産)米こうじ(秋田県産米)、精米歩合40%(麹米40% 掛米40%)、醸造年度 平成29酒造年度(2017-2018)、杜氏名 植松誠人、製造年月2018.06(瓶詰時期)、出荷年月2018.12、一回火入れ」。

 蔵名および酒名「新政」の由来について、日本の名酒事典は「嘉永5年(1852)創業。酒名は明治維新新政府がその施政の大綱とした“新政厚徳”からとったもので『新政』と『厚徳』に分けて商標登録されている。『新政』は、はじめ『しんせい』と読んでいたが、後に『あらまさ』と訓読するようになった」と説明している。

酒蛙

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