×
メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4577】山形正宗 稲造 2019(イナゾー)【山形県】

2021.5.29 11:17
山形県天童市 水戸部酒造
山形県天童市 水戸部酒造

【B居酒屋にて 全8回の⑧完】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。今回は、人並み以上の嗅覚を発揮する酒友ちーたんに同席してもらった。

「川鶴」「七田」「ヤマサン正宗」「金鼓」「賀茂金秀」「かねたまる」「磐城壽」と飲み進め、最後8番目にいただいたのは「山形正宗 稲造 2019」だった。水戸部酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで、「山形正宗」を中心に16種類を取り上げている。しっかりした味わいで、キレが非常に良い酒、という好印象を持っている。このお酒はどうか。いただいてみる。

 酒蛙「やわらかな口当たり。果実香ほのか。美味しいね」
 ちーたん「セメダイン香(酢酸エチル似の芳香)がいる」
 酒蛙「あ、たしかにセメダイン香というかバナナ系の香りが少しするね。余韻は苦み。キレ良し」
 ちーたん「うん。苦みを感じるけど、このお酒は、水流たっぷりの、せせらぎの水のような感じだ」
 酒蛙「飲んでいたら、きれいな酸とやさしい甘みと旨みが出てきた。あ、旨いっ! しかも品がある。これ、いいよぉ!!!」
 仲居さん「良かったね。このお酒、いいのよ!」
 酒蛙「食中酒にいいね。肩が凝らずに飲むことができ、しかも飲み飽きしないお酒だ」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 山形県産米100%使用、農業法人水戸部酒造栽培米、精米歩合60%、アルコール分15度、製造年月2020.11」とし、最後に「人生は、遊びだ。」と大書している。しかし、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 また、蔵のホームページは、「『山形正宗 稲造』について」と題しての「杜氏による酒説明」を以下のように掲載している。「地元天童市の圃場で、自分たちで育てた米で醸す、当蔵の荒らしいスタンダード。年ごとの米の違いが生み出す味わいを感じていただきたく、米を収穫したヴィンテージ(年号)が記載されています」

 すなわち、「稲」から「造」るので、酒名の「稲造」。そして、「稲」に「象」(造と同音)でラベル絵になった、というわけだ。そもそも、500円札のモデルになった外交官・新渡戸稲造(にとべいなぞう)と水戸部稲造(みとべいなぞう)は、音が極めて似ている。このような駄洒落要素があったのかな? まさか、ですよね。

 ネット情報によると、「2017年で生産が一時お休みとなっていた『山形正宗 純米吟醸 稲造』が、この度パワーアップしてリニューアル」とのこと。それなのに、今回はなぜ純米吟醸を名乗っていないのだろう? 精米歩合60%だと、純米吟醸、特別純米、純米のいずれかになるが・・・。蔵には蔵の戦略があり、ゆえに特定名称酒の区分をしていないのだとおもうが、一般ユーザーにとっては特定名称酒の区分があった方が何百倍も買いやすい。一般ユーザーの立場に立って考えていただきたい。

 酒名「山形正宗」の由来について、ウェブサイト「『日本の名酒』自宅にいながら蔵元巡りの旅」は「山形正宗」の由来について「1898年(明治31年)に、初代水戸部弥作によって創業されました。酒名は、銘刀正宗のようにキレのある酒、辛口の山形の酒ということのようです」と説明している。

酒蛙

関連記事 一覧へ