【4542】播州一献 純米吟醸 生酒 Spring Shine(ばんしゅういっこん)【兵庫県】

【H居酒屋にて 全5回の③】
なじみのH居酒屋の店主からショートメールが入った。「FY2(若波=福岡県)など新しいお酒が入りましたので、お越しください」。おおおっ、それなら行かねばならない。常人では考えられない嗅覚力を誇るちーたんに同席を願い、新しいお酒を味わった。
「勝駒」「寒紅梅」と飲み進め、3番目にいただいたのは「播州一献 純米吟醸 生酒 Spring Shine」だった。山陽盃酒造のお酒は当連載でこれまで、10種類を取り上げている。力強い、しっかりとした味わいのお酒、という強いイメージを抱いている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。
ちーたん「わーっ! 女の子の香り!」
酒蛙「えっ?? 何それ???」
ちーたん「本当にかわいい香り」
酒蛙「やわらかで、まるみを感じる口当たり」
店主「ちょっとフルーティー。すごくさっぱりしている」
ちーたん「フルーティーは分かる。純粋というイメージのお酒だ」
酒蛙「『播州一献』というと、ガツンときてしっかりした味わいの酒、というイメージだったが、これは、軽めで、やわらかく、さらっとしている。従来抱いてきたイメージとは真逆のお酒のような気がする。この蔵の幅の広さ、懐の深さを感じさせてくれるお酒だ。あれも『播州一献』、これも『播州一献』。素晴らしい」
店主「女性が好みそうなお酒だ」
ちーたん「そうかもしれない。イチゴをおもわせるもんね」
酒蛙「セメダイン香(酢酸エチルの芳香)似、バナナ香似の香りがほんのりと。余韻は苦みがすこし」
ちーたん「うん。軽い感じの苦みだね」
店主「旨い苦みだね」
酒蛙「キレが非常に良い。甘・旨・酸・苦が等分に、しかもやわらかく出ているニュアンスだ。春酒にぴったりだ」
ちーたん「そうそう、イーブンだよ」
瓶の裏ラベルは、この酒を「春の輝きのような軽やかで上品な甘みを感じていただける仕上がりとなっています」と紹介している。また、蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。
「春の輝きを味わいで表現したSPRING SHINE(スプリング シャイン)。全体の輪郭をつくるビビットな酸は、新しい季節への緊張感やときめきを表しています。そのあとに感じるふんわりとした春風のような甘みは、四段仕込みを採用したことに由来します。旨味や味わいを感じながらも『もう一杯・・・』と飲めるのは、もろみ原酒でアルコール15度に抑え、重さを感じないようにしたためです。山菜料理や鰆の塩焼きなど爽やかな春の食材とあわせてお楽しみください」
裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール分15度、精米歩合55%、原料米 播州吉川産山田錦100%、醸造責任者 壺阪雄一、製造年月2021.3」。蔵ののホームページでは「特A地区播州吉川産山田錦」と開示している。
酒名「播州一献」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。
「播州一献とは、『播州地域(兵庫県南西部)の豊かな自然の恩恵を受け、作られたお米、播州の水を使い、地酒本来の良さを大切に手間・ひまを惜しまずに醸したお酒をどうぞ』との思いから名付けられました。『いっこん』とは、よく時代劇とかで『ささ、一献』って言っているの見かけたことはないでしょうか? 『いっぱいのお酒』という意味もあります。(三省堂国語辞典より) なので、播州一献とは、”播州産の米と水を使った播州のお酒を、一献どうぞ”という意味です」