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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4506】風の森 みんなで花火を打ち上げるお酒 純米奈良酒 無濾過無加水生酒(かぜのもり)

2021.3.9 17:31
奈良県御所市 油長酒造
奈良県御所市 油長酒造

【B居酒屋にて 全7回の④】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いているから、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナ休業のあと営業を再開したものの、なかなか客が戻らない様子。飲み手としては、すこしでも支援になるよう定期的に通うことしかできない。早くコロナ禍が過ぎ去り、にぎわいを取り戻してもらいたい、と切に願う。

「〆張鶴」「中島屋」「九尾」と飲み進め、4番目に選んだのは「風の森 みんなで花火を打ち上げるお酒 純米奈良酒 無濾過無加水生酒」だった。「風の森」は、わたくしの好きな銘柄ベスト5の中に常に入っていおり、当連載でこれまで、17種類を取り上げている。

「風の森」は基本的に同じデザインのラベルで、色使いで区別している。しかし今回のラベルは「三尺玉」ともおもえるような大輪の花火。いつもと趣を全く異にしている。

 瓶の裏ラベルの一番上に「油長酒造×葛城煙火」と書かれている。蔵と花火業者とのコラボレーションとおもわれる。そして「油長酒造×葛城煙火」の下に「このお酒は、10月1日(日本酒の日)に一斉乾杯し、花火を打ち上げるお酒です。花火へのご協賛が含まれております」と書かれている。

 これだけだと何のことかさっぱり分からないが、蔵の特設サイトでは詳しく説明している。長くなるが、以下に転載する。

     ◇   
 
【風の森 ―みんなで花火を打ち上げるお酒―】
 みんなで大輪の花火を打ち上げよう! このお酒はみんなが元気になれるよう思いを込めて、10月1日(日本酒の日)に一斉乾杯し、花火を打ち上げるお酒 です。
 本年はコロナ渦中でほぼ全ての夏祭り、夏の風物詩である花火大会がなくなってしまいました。当たり前だった日々の日常がそうでなくなってしまった方もたくさんいらっしゃいます。地元の花火会社も非常に厳しい状況になっています。
 しかしずっとくよくよしていても何もはじまりません。前を向いてこれからの時代に合わせた考え方を模索していきましょう。そのような中で風の森では地元の花火会社、また、風の森のファンのお客様とコラボレーションし10月1日(日本酒の日)にYouTubeライブ配信の「風の森花火大会」を開催することができないかと考えました。この花火大会は密を避けるため、場所は非公開、YouTubeで全国にライブ配信いたします。

【花火大会開催決定】
 今回皆さんがご購入のお酒に含まれております、花火のご協賛で花火大会を開催出来ることになりました。ご予約・ご購入いただきました皆様、ありがとうございます。

【YouTubeライブ中継で乾杯イベント】
 ご購入いただきましたボトルのラベルに記載された花火大会特設サイトQRコードを読み込んでいただくか、記載されたURLをパソコンにご入力いただく事でこの特設サイトにお越しいただけます。こちらの特設サイト上(https://www.yucho-sake.jp/hanabi/)で10月1日18時15分スタートの風の森花火大会にご参加いただけます。

【花火ネーミングライツ企画 (9月27日締め切り)】
 この特設サイトのページ下部で皆さんにはネーミングライツ企画にご応募いただけます。
花火に思いを込めてメッセージとともにご応募いただけますと幸いです。大賞に当選されたお客様は、お客様用の特別な花火を1発ご用意して打ち上げさせて頂きます。

【大賞】
 5名の方には特別に大きい花火をご用意させていただきます。お客様のお名前とその熱い想いをライブ配信で読み上げさせていただき、打ち上げさせていただきます。当選された方にはあらかじめ弊社よりメールにてご連絡差し上げます。

【副賞】
 100名の方はライブ配信中にお名前を画面上で表示させていただきます。また、MCから花火に込められたメッセージをご紹介させていただくこともあります。

     ◇

 花火大会は2020年10月1日、無事行われた。油長酒造のホームページ特設サイトやスマホで花火の映像が見られるとのこと。さて、前段が長くなり過ぎた。肝心のお酒をいただいてみる。グラスに注ぐと、ガスの気泡がいっぱい発生し、グラスの内側に付く。写真を見ても、気泡の多さが分かる。

 仲居さんがちょっと盗み飲みして「何、これ! 好き! さわやか!」と大騒ぎ。よっぽど気に入ったのだろう。さらに言葉を続ける。「花火のようにシュワシュワっと来るよ。シュワシュワっと広がるよ。納得! お酒で花火を表現したかったのね! 納得! とってもスマートなお酒!」。瓶およびラベルの撮影が終わり、わたくしも参戦する。

「旨いっ!」。言葉に出る。これが第一印象。シュワシュワとガスが弾ける感触がうれしい。甘旨酸っぱくて、極めてジューシー。重くはなく軽快。淡麗旨口におもえた。そしてキレが非常に良い。軽快ではあるものの、甘旨みをはじめとする味わいにミネラル感と凝縮感があり、美味しい。アルコールが14度と低く設定されているため、アルコールを飲んでいるというより、炭酸系ジュースを飲んでいるイメージ。「風の森」のDNAも十分感じ、まるで“大人のジュース”だ。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、奈良県御杖村産 露葉風100%使用、精米歩合50%、アルコール分14度、製造年月2020.09、仕込水 金剛葛城山系深層地下水超硬水硬度250mg/L前後」。

 使用米の「露葉風」(つゆはかぜ)について、「風の森 露葉風 純米大吟醸 しぼり華 無濾過無加水生酒」(当連載【3864】)の裏ラベルは以下のように説明している。「奈良県のみ生産される酒米、露葉風。心白がとても大きく、調和のとれた複雑味のある味わいがその特徴です。ただ綺麗なだけではなく、奥行きと立体感のある酒質をお楽しみください」

「露葉風」は愛知県農業試験場が1953年、母「白露」と父「早生双葉」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1963年に命名された酒造好適米だ。

 酒名「風の森」の由来について、蔵のホームページは「御所市内にある地名『風の森峠』に由来します。緑豊かな葛城金剛山麓に位置し、一年心地よい風が峠を駆け抜けます」と説明している。

 また、大和屋酒舗(広島市)のサイトは、以下のように説明している。「『風の森』の酒名は同市内にある風の森峠から付けられました。峠付近は、日本で一番早く稲作が行われた地域だといわれ、金剛山麓から強く吹き抜ける風を避け五穀豊穣を祈願して、風の神である志那都彦神(しなつひこのかみ)を祭神とする『風の森神社』が近くの森に祀られています」

酒蛙

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