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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4496】喜久水 樽酒(きくすい)【長野県】

2021.2.27 20:32
長野県飯田市 喜久水酒造
長野県飯田市 喜久水酒造

 夕食を近所の蕎麦屋でとることにした。この店は「安い」「多い」が特長で、わたくし、かなり気に入っている。だから、夕食どきに気軽に入っている。なんてったって近所。「近い」が一番。そして「安い」「多い」も一番。日本語的に変だが、まあ、いいのだ。

 わたくしは、ワイン以外のアルコール類をすべて飲むが、個人的には蕎麦屋では日本酒が合う(あくまでも個人的な好みです)とおもう。蕎麦屋で泡盛を飲む気にはなれない。蕎麦屋でハイボールを飲む気にもなれない。で、この店では日本酒を飲むことになるのだが、日本酒は「喜久水 樽酒」オンリーワン。だから、それを注文する。

 この酒は当連載【1656】で取り上げている。同じ蕎麦屋で飲んだものだが、取り上げたのは7年前のことなので、あらためて取り上げてみる。ちなみに、この店では「喜久水 樽酒」を出すとき、木の升に入れ、その縁に粗塩を乗せる。しかし、わたくしは升の飲むのが嫌いなので、ガラスのコップで飲んでいる。

 さて、いただいてみる。すっきり、さわやか、さっぱりとした口当たり。ほんのり樽香。これがたまらなく好きだ。クセが全く無い淡麗辛口酒。含み香にほんのわずかにアルコール添加感があるが、全く気にならない。余韻は辛み。甘みと旨み、それに酸がほどほどに出ている。酒が冷たいときは辛みはそれほど出ないが、酒の温度がすこし上がると辛みが増す。総じて、本当に穏やかでやさしい上品なお酒だ。

 瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)醸造アルコール、アルコール分15度、製造年月02.10」。醸造アルコールが使われているので、普通酒だ。しかし、普通酒でこのくらいレベルの高い酒は、そうざらにはない。さしずめスーパー普通酒だ。

 わたくしは、この酒と一緒に、カツとじ、エビの唐揚げ、タコ唐揚げをいただき、仕上げにいつものように「かけそば」をいただこうとしたが、直前になって魔が差し、焼き干しだしの手打ちラーメンを注文してしまった。

 酒名「喜久水」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「南信州 下伊那唯一の酒蔵として南アルプスを望む城下町飯田、下伊那の南信地域にはかつて37軒の酒造家がありました。
太平洋戦争戦時下の1944(昭和19)年に各地で行われた企業合同した蔵元の中でも、合同したまま残る全国的にも稀な酒蔵です。そして、南信州飯田下伊那地域における唯一の日本酒の蔵元でもあります。酒銘の『喜久水』(キクスイ)は、企業合同した折に市内の酒造家が明治の頃より使っていた由緒ある銘柄を総意として引き継ぎ、現在に至っています」

 酒名「喜久水」の意味について、日本の名酒事典は「昭和19年、飯田税務署管内の37の蔵元が合併。酒名は文政年間に楠木正成公を祀った湊川神社の分霊が、飯田の酒屋に祀られたことから、菊水(現喜久水)の酒名が許された」と説明している。

酒蛙

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