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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4494】姿 純米吟醸 無濾過生原酒 極すがた T-ND3(すがた)【栃木県】

2021.2.26 0:52
栃木県栃木市 飯沼銘醸
栃木県栃木市 飯沼銘醸

【Z料理店にて 全8回の⑦】

 久しぶりに近所のZ料理店の暖簾をくぐった。この店には、だいたい2カ月に1回のインターバルで顔を出している。予約すればさりげなく、わたくしが飲んだことがない酒を冷蔵庫に入れておいてくれる。「うちは居酒屋じゃないからね。料理を出す店だからね」とわたくしにクギを刺しながらも、なかなかニクい心遣いだ。

「日高見」「会津中将」「田酒」「喜多の華 貴醸酒」「醸侍」「姿 純米吟醸 無濾過生原酒 中取り」と飲み進め、7番目に選んだのは、同じ「姿」の「姿 純米吟醸 無濾過生原酒 極すがた」だった。飯沼銘醸のお酒は当連載でこれまで、12種類を取り上げており、うち7種類が「姿」である。「姿」には、しっかりとした味わいの酒、というイメージを持っている。

 直前に飲んだ「姿 純米吟醸 無濾過生原酒 中取り」とは同じ「純米吟醸 無濾過生原酒」でありながら、全く違う味わいに仰天してしまった。直前に飲んだ「中取り」は甘・旨・酸・辛・苦のバランスが非常に良い旨口酒だったが、今回の酒は甘・旨みが少なめで、辛みと苦みが極めて印象的な辛口酒だったのだ。「姿」には旨口のしっかりした味の酒、というイメージを抱いていたため、このような辛口酒をいただいたのは初めてだ。

 セメダイン香(酢酸エチル似の芳香)的バナナ的柑橘的香りが一緒になったような香りが控えめに出ている。そして、酒質が非常にきれいな酒。飲み進めていったら、さらにきれいな辛みが出てきた。きれいな辛みだから、シャープ感のある辛口。当然、キレが良い。辛口酒といっても、ただドライなだけの辛口ではなく、しっかり辛い辛口酒(表現が幼稚で申し訳ありません)なのが好感を持てる。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「使用米 雄町100%、精米歩合55%、酸度1.8、アルコール度17.8%、日本酒度+8、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、製造年月 令和2年8月、出荷年月 令和2年9月」。製造年月と出荷年月を分けて表示しているのは非常に親切だ。

 酒名のサブとして書かれている「T-ND3」は、栃木県で新しく開発された酵母で。栃木(T)「ニュー(N)デルタ(D)酵母」とも呼ばれているんだそうな。

 酒名「姿」の由来について、コトバンクは「酒名は、『搾ったままのそのままの姿の酒』の意」と説明している。

 この蔵の主銘柄は「杉並木」。この由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「『杉並木』の酒銘は、日光杉並木街道に由来し、街道筋には現在も一万三千本以上が成長を続けており、総延長三十五kmにも及ぶ並木が残されています。日光例幣使街道に面する西方町は良質な米の産地として、戦前から有名な田伏流水を使用し、そこで醸されるお酒は、新潟杜氏の技と相まって、スッキリしてしかも味わいのある風味を出しております。又、地元産の酒米の山田錦を使用した純米吟醸酒『杉並木 年輪』の味わいが好評を博しております。
  江戸時代、諸国の大名が東照宮に競って、高価な金品を寄進するなかで松平正綱は寛永年間から20余年を費やし、約十万本の植樹を行ったのが杉並木の謂れである」

酒蛙

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