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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4493】姿 純米吟醸 無濾過生原酒 中取り(すがた)【栃木県】

2021.2.24 17:38
栃木県栃木市 飯沼銘醸
栃木県栃木市 飯沼銘醸

【Z料理店にて 全8回の⑥】

 久しぶりに近所のZ料理店の暖簾をくぐった。この店には、だいたい2カ月に1回のインターバルで顔を出している。予約すればさりげなく、わたくしが飲んだことがない酒を冷蔵庫に入れておいてくれる。「うちは居酒屋じゃないからね。料理を出す店だからね」とわたくしにクギを刺しながらも、なかなかニクい心遣いだ。

「日高見」「会津中将」「田酒」「喜多の華 貴醸酒」「醸侍」と飲み進め、6番目に選んだのは「姿 純米吟醸 無濾過生原酒 中取り」だった。飯沼銘醸のお酒は当連載でこれまで、11種類を取り上げており、うち6種類が「姿」である。「姿」には、しっかりとした味わいの酒、というイメージを持っている。

 このお酒はすこしの温度変化で味が変わりびっくりさせられた。冷酒でいただいたのだが、最初は香りがほのかで、ほとんどしないに等しい。甘み・旨み・酸・苦みが出ているが、だからといって甘旨酸っぱい味わいではなく、モダンタイプという感じではない。ジューシー感もさほど出ているようには感じない。キレは非常に良い。この段階ではクラシックタイプの酒のように感じた。酒の温度は9~10℃という印象。

 しかし、グラスの酒の温度がすこし上がってきたら(たぶん12℃前後)、吟醸香が控えめながら出てくる。次第に酸が出てきて、だんだん甘旨酸っぱくジューシーに。味がふくらみ、味にリッチ感が出てくる。やわらかな口当たり。そして、モダンタイプ寄りの味わいになってきた。酸がなかなかいい感じの出方になってくる。素直に美味しい、と感じる。店主も「本当に美味しいですね」とびっくりした表情を浮かべていた。すこしの温度差でこれほど味に違いが出るとは。ひとつ学習したおもいだ。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「使用米 山田錦100、精米歩合55%、酸度1.6、アルコール度17.0度、日本酒度+1、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、製造年月 令和2年12月、出荷年月 令和2年12月」。製造年月と出荷年月を分けて表示しているのは非常に親切だ。

 酒名「姿」の由来について、コトバンクは「酒名は、『搾ったままのそのままの姿の酒』の意」と説明している。

 この蔵の主銘柄は「杉並木」。この由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「『杉並木』の酒銘は、日光杉並木街道に由来し、街道筋には現在も一万三千本以上が成長を続けており、総延長三十五kmにも及ぶ並木が残されています。日光例幣使街道に面する西方町は良質な米の産地として、戦前から有名な田伏流水を使用し、そこで醸されるお酒は、新潟杜氏の技と相まって、スッキリしてしかも味わいのある風味を出しております。又、地元産の酒米の山田錦を使用した純米吟醸酒『杉並木 年輪』の味わいが好評を博しております。
  江戸時代、諸国の大名が東照宮に競って、高価な金品を寄進するなかで松平正綱は寛永年間から20余年を費やし、約十万本の植樹を行ったのが杉並木の謂れである」

酒蛙

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