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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4490】田酒 純米大吟醸 斗壜取(でんしゅ)【青森県】

2021.2.21 20:50
青森県青森市 西田酒造店
青森県青森市 西田酒造店

【Z料理店にて 全8回の③】

 久しぶりに近所のZ料理店の暖簾をくぐった。この店には、だいたい2カ月に1回のインターバルで顔を出している。予約すればさりげなく、わたくしが飲んだことがない酒を冷蔵庫に入れておいてくれる。「うちは居酒屋じゃないからね。料理を出す店だからね」とわたくしにクギを刺しながらも、なかなかニクい心遣いだ。

「日高見」「会津中将」と飲み進め、3番目の酒を選ぼうとしていたら、店主が「蛙さんにアレを飲ませてやって。奥の冷蔵庫に入っているアレだよ」と仲居さんに命じた。「何が出てくるんだろう?」とおもいながら見ていたら、出てきたのはなんと「田酒 純米大吟醸 斗壜取」だった。「ちょっと、ちょっと、ちょっと! それ、高いでしょ!!!」とわたくしが悲鳴を上げたら、店主は「まあ、いいから、いいから」。わたくしとしては、ちっとも「いいから」ではないが、店主のイキオイに押され、飲んでみることにする。あとで調べたら、この酒は約2年前に、当連載【3785】で取り上げていた。2年ぶりの再登場だ。

 いただいてみる。「おおおっ」と声に出た。上立ち香と含み香が華やかだったのだ。単に華やかだと表現が薄っぺらいかも。ゴージャス芳醇とでも言えばいいのだろうか。果実香がふくよかに広がる。華やかではあるが、品を保っているのはさすが、だ。味わいは、甘旨酸っぱいが、それぞれの味が出過ぎるわけでなく、抑制が効いた“適度感”が、余裕を感じさせる。濃淡度では、やや「濃い寄り」。余韻は軽い辛・苦み。そして、丸みのある口当たり。すべてにおいてバランスがとれた、格上感に満ちあふれたお酒だった。

 蔵のホームページはこの酒を「鑑評会出品用の吊り下げ雫酒。華やかな吟醸香と、上品な味わいが特徴」と紹介している。

 裏ラベルのスペック表示は「アルコール分16度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合40%、製造年月2020.11.28」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。しかし、蔵のホームページでは「原料米 山田錦、日本酒度±0、酸度1.4」と開示している。ホームページは小売価格(税別)も開示している。それによると1升が「¥11,000」。ガーン!!!だ。

 酒名「田酒」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「『田』はもちろん、酒の元となる米が獲れる田んぼを意味し、名前の通り、日本の田以外の生産物である醸造用アルコール、醸造用糖類は一切使用していないことを力強く主張した、米の旨みが生きる旨口の純米酒です。『日本酒の原点に帰り、風格ある本物の酒を造りたい』という一念で、昭和45年に昔ながらの完全な手造りによる純米酒の醸造に着手。その後、商品化までに3ヶ年を費やし、発売は昭和49年10月1日でした」

 ラベルの「田酒」の字は、竹内俊吉・元青森県知事の筆による。

酒蛙

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