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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4488】日高見 純米大吟醸 大丈夫きっと全て上手く行く(ひたかみ)【宮城県】

2021.2.19 22:15
宮城県石巻市 平孝酒造
宮城県石巻市 平孝酒造

【Z料理店にて 全8回の①】

 久しぶりに近所のZ料理店の暖簾をくぐった。この店には、だいたい2カ月に1回のインターバルで顔を出している。予約すればさりげなく、わたくしが飲んだことがない酒を冷蔵庫に入れておいてくれる。「うちは居酒屋じゃないからね。料理を出す店だからね」とわたくしにクギを刺しながらも、なかなかニクい心遣いだ。

 今回、最初にいただいたのは「日高見 純米大吟醸 大丈夫きっと全て上手く行く」だ。「日高見」は当連載でこれまで、13種類を取り上げている。基本、しっかりした味わいの酒が多く、味の幅がなかなか広い印象だ。とくに、東日本大震災で壊滅的な被害を受け、生き残った醪を集めて搾った「日高見 震災復興酒 希望の光 純米 絶対負けない石巻」(当連載【512】)と、震災から立ち直り、その最初に搾った「日高見 純米初しぼり 感謝の手紙 生酒 町の明かりは消さない」(当連載【702】)は印象的だった。

 この二つだけを見て分かるように、この蔵は、重大な決意を胸に酒を造ったときの、酒のタイトルがおっそろしく長い。そして、裏ラベルのメッセージもおっそろしく長い。今回も同様だ。そして今回のお酒は、日本酒を愛するすべての国民に向けた、コロナ収束まで頑張ろう、というメッセージなのだ。

 瓶の裏ラベルの冒頭、「ラベルの虹とメッセージはイタリアの子供達の活動に共感した物です」(この場合のメッセージは、酒名の「大丈夫きっと全て上手く行く」)。しかし、いきなり、これを見せられても、消費者はさっぱり分からない。

 これについて、日本酒の専門通販「さかや栗原」(東京都町田市)の自社のサイトで以下のように分かりやすく説明している。「イタリアの子供たちが新型コロナウィルスで外出できない中、いらなくなったシーツに幸運をもたらすと言われている虹の絵と共に、『Andra tutto bene-アンドラ トゥットベーネ-<きっと全てうまくいく>』のスローガンを窓から外に掲げ、「明るいビジョンをもって皆で頑張ろう」と各地で広がっている運動に、東北大震災でさまざまな方々に助けてもらい元気づけられた『日高見』を醸す平孝酒造は共感し、新型コロナウィルスに絶対負けないと強い気持ちを込めて造った限定酒。裏ラベルには蔵元からのメッセージが書かれています」

 以下がその裏ラベルのメッセージだ。

「前略 日本酒を愛する皆様、如何お過ごしですか? 新型コロナウイルス感染症により、不自由な生活を余儀なくされていませんか? 不要不急の外出を控え、くれぐれも感染しないようにご注意下さい。
 しかし、こうした中、医療従事者の皆様は医療現場で、命がけの闘いを強いられており、本当に頭が下がる思いです。心より敬意を表したいと存じます。
 また、私たち蔵元の身近でも、飲食店の皆様は国や県の要請から、営業を自粛し、必死になって新型コロナウイルス感染症と対峙されております。そうして頑張っている彼らの顔が目に浮かび、とても心配でなりません。何とかこの難局を共に乗り越えて行きたいと心から願っております。
 そして、新型コロナウイルス感染症が終息した暁には、これまで一緒に切磋琢磨して来た仲間達と、これまで以上に日本酒業界を盛り上げて行こうと思っておりますので、是非、その時には皆様の応援を宜しくお願い致します。
 私は東日本大震災の時に、皆様から暖かいご支援を頂き、心より励まされました。あの時私は、日本酒には何か不思議な力が有るなと感じました。コロナ禍、日本中がとても暗い雰囲気になっております。日本酒が全ての方々の心に、明るい虹を架ける事は到底出来ないと思いますが、日本酒を愛する方々の心には、必ずその思いは通じると信じております。
 虹には困難の後に、明るい未来が訪れると言われております。止まない雨はないと申します。どうぞ皆様も体調管理には十分注意を払って頂き、明るい未来を信じて頑張って行きましょう。 草々
 平穏な日々が一日も早く訪れますように今日も日本酒で乾杯!
  株式会社 平孝酒造 店主 拝」

 前段が長くなってしまった。さて、いただいてみる。甘みがまず来る。日高見としては珍しい入り方だとおもった。次に酸が来て、甘旨酸っぱい味わいに。けっこうしっかりとした味わい。太めの力強い味わい。余韻はやや辛み。香りは抑えられている。しっかりした味わいは「日高見」の持ち味だ。

 ラベルのスペック表示は「アルコール分16度以上17度未満、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合50%、製造年月02.10」。使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 酒名「日高見」の由来について「日本の名酒事典」は、「太陽の恵みを受ける『日高見国』が、北上川を中心とする地域に依存しているという郷土の伝説と、地元を大切に考える蔵の姿勢から命名」と説明している。地図を見ると、蔵のある石巻市は、旧北上川の河口に位置している。

酒蛙

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