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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4466】太美 純米大吟醸 ROYCE'(ふとみ ロイズ)【北海道】

2021.1.28 17:31
北海道札幌市 日本清酒
北海道札幌市 日本清酒

 北海道出身の友人からお酒をいただいた。「太美 純米大吟醸」。知らない銘柄だなあ、と首をかしげたら、ロイズが出している日本酒とのこと。化粧箱を見ると、たしかに、チョコレートで有名な「ROYCE'」のロゴが印刷されている。ロイズと日本酒。頭の中で、にわかには結びつかないが、時代は変わってきているんだなあ、とぼんやりおもう。

 ロイズの委託を受けて醸造したのが、札幌市唯一の地酒蔵である日本清酒。当連載でこれまで、日本清酒のお酒を2種類取り上げている。さっそく、晩酌酒としていただいてみた。

 上立ち香・含み香とも非常に華やか。厚みがあり、やわらか、ふくよか、やさしい口当たり。甘み・旨みをまず感じ、次に酸でメリハリを感じ、最後は多少の辛みと苦みで〆る、という味の構造。全体的にバランスが良くとれている中で、この酒の特長はやはり華やかな香りと甘さだとおもう。絵に描いたような純米大吟醸の見本のようなお酒だ。甘みが出ているが、ベタ感やくどさは全く無く、キレが良い。温度が室温に近くなると、甘みはさらに出てくるようになる。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「『ロイズコンフェクト』のふと美工場がある、北海道当別町。この当別町の中でも、ふと美工場周辺で育った酒造好適米『吟風』を35%まで贅沢に磨き上げ、札幌唯一の地酒蔵が誇る命の水脈・豊平川の伏流水を使って丁寧に仕込みました。米と米麹だけで醸し上げた純米大吟醸のクリアな味わいと吟醸香が奏でる芳醇なハーモニー。地元の自然の恵みを心ゆくまでご堪能ください」

 酒名「太美」は、地名だったのだ。また、ロイズのホームページは、この酒を以下のように紹介している。「冷涼で緑豊かな太美の空気を思わせるようなクリアで、すがすがしい辛口の日本酒は、晩酌はもちろん、食事に合わせても飲みやすく、お酒好きの方にぜひ贈りたい1本です」。わたくしは、この酒に甘みを特徴的に感じたので、ホームページの「すがすがしい辛口」という表現に違和感を持ったが、酒の味の感じ方は人それぞれ違うものなので、そのような表現もアリかな、とおもう。じっさい、エンディングで辛みが出てくるので。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「北海道当別町産『吟風』100%使用、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、アルコール分15度以上16度未満、精米歩合35%、製造年月20.12、販売元 ロイズコンフェクト」。

 使用米の「吟風」(ぎんぷう)は、北海道立中央農業試験場が1990年、母「八反錦と上育404号の子」と父「きらら397」(主食用米)を交配、選抜と育成を繰り返し品種を固定。1999年に命名、2002年に品種登録された、北海道で栽培されている酒造好適米だ。

 ところで、この酒の醸造元・日本清酒の主銘柄は「千歳鶴」。この「千歳鶴」に思い出がある。今から15年ほど前のこと。仕事で知り合った北海道の友人に誘われ、札幌市で飲んだ。午後6時に飲み会がスタート。最初は7-8人いたメンバーが、あちこち遊泳するうちに3人になった。この3人が流れ着いたのは、ビル地下1階の、割烹着姿の女将さんが一人できりもりしている、小さいながらこぎれいな居酒屋。ここで飲み続けたのが「千歳鶴」の普通酒だった。杯を重ね談笑しているうち、気がついたら午前5時を回っていた。地上に出たとき、目の奥に強く感じた明るさを、今でもはっきりと覚えている。

酒蛙

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