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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4465】益荒男 山廃 純米吟醸(ますらお)【石川県】

2021.1.27 21:34
石川県加賀市 鹿野酒造
石川県加賀市 鹿野酒造

【B蕎麦屋にて 全5回の⑤完】

 山仲間のタケちゃん&ちふみん夫妻と年に2回ほどB蕎麦屋で会食をしている。今回は、タケちゃん宅の新しい家族・ロシアンブルーの仔猫と対面したあと、夫妻と一緒にB蕎麦屋へ。

「墨廼江 純米吟醸 雄町」「上喜元 翁 生詰」「屋守 純米 中取り 無調整 仕込み22号」「陸奥八仙 Mixseed Series 自社田 Hanafubuki88」と飲み進め、最後5番目にいただいたのは「益荒男 山廃 純米吟醸」だった。鹿野酒造はかつて、杜氏初の現代の名工・農口尚彦さんが所属していた蔵。当連載では「常きげん」9種類、「益荒男」8種類を取り上げている。鹿野酒造のお酒は山廃仕込みのイメージが非常に強い。農口さん直伝の山廃仕込みだ。

 今回のお酒はその中で、当連載【1995】の「益荒男 山廃純米吟醸」と同じ。この酒を飲んだのは、およそ5年半前。Y居酒屋で丸6年間続けてきた日本酒会月例会最後の会で飲んだのだった。

 この居酒屋にお酒を入れていた酒屋さんは、なかなか才覚があり、全国の面白そうな酒を見つけては、月例会に出し、わたくしたちを喜ばせてきた。しかし、ご主人が急逝したため、定番酒しか仕入れられなくなった。それでもY居酒屋の女将は営業を始めたときからの義理を大切にし、酒屋を変えることはしなかった。その結果、毎度同じ酒しか飲めない状態となり、必然的に日本酒会は解散した。さて、5年半ぶりに、このお酒を飲んでみる。5年半前の味の記憶は全くない。

 上立ち香はほとんど感じられず、含み香に昭和レトロ的クラシカル香味がほのかに。甘旨みがまず感じられ、遅れて酸が出てくる。その後も酸は存在感を示し、居続ける。けっこうしっかりとした味わいだが、落ち着き感のある静かな酒質。余韻は辛みと苦み。変な言い方だが、酒らしい酒。近年、ジューシーで果実感のあるモダンタイプのお酒を飲む機会が多いため、今回のような絵に描いたようなクラシックタイプのお酒を口にすると、非常に新鮮に感じる。「落ち着き感のある静かな酒質」は、まさにクラシックタイプの酒質をひと言で表したものだ。

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分16度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合55%、製造年月2019.10」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 この蔵の主銘柄「常きげん」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。「『常きげん』という名は、ある年の大豊作を村人たちと祝う席で、4代目当主が『八重菊や酒もほどよし常きげん』と一句詠んだことにちなんだものです」

 ところで、「益荒男」とは「立派な男、強く勇ましい男子」(広辞苑)という意味。余談だが以前、大相撲力士に、“白いウルフ”の異名をとる「ますらお」がいたが、こちらは「益荒雄」(以前の阿武松親方)と書く。

酒蛙

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