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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4458】くどき上手 辛口純吟 生詰(くどきじょうず)【山形県】

2021.1.20 21:25
山形県鶴岡市 亀の井酒造
山形県鶴岡市 亀の井酒造

【I料理店にて 全4回の③】

 コロナ禍で、飲食業は大苦戦している。そういえば、なじみのI料理店はどうしているだろうか。気になって暖簾をくぐった。おもった以上に客が入っていた。「いいじゃないか」と励ましたつもりだったが、「今日だけですよ」と店主は冴えない表情。すこしでも早くコロナ禍が去り、客が戻ってほしいものだ。

 この日、「酔鯨 純米吟醸 吟麗」「加賀鳶 純米吟醸」と飲み進め、3番目にいただいたのは「くどき上手 辛口純吟 生詰」だった。亀の井酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで、24種類を取り上げている。その中で「くどき上手」は19種類だ。今回の「くどき上手 辛口純吟 生詰」は、当連載【460】(2011年4月1日に掲載)と同じお酒で、飲むのはほぼ9年ぶりだ。さて、いただいてみる。

 やや華やかな吟醸香だが、以前に飲んだときより香りがかなり少なくなった印象を受けた。もしかして造りが以前とまったく同じかもしれず、単にわたくしの気のせいなのかもしれないが、そう感じた。最初のアタックは甘旨だが、コンマ何秒のうちに辛みが来て、あとはずっと辛みが続く。酸は感じないが、かなりたってから、奥に酸があることに気づく。辛口酒ではあるが、吟醸香が華やかで、口当たりはふくよか。旨みもあり、ただ辛いだけの味がしないドライ酒より数倍、好感が持てる。キレも良く、総じて上品感を漂わせているお酒。

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分16度以上17度未満、原材料名 米・米こうじ、精米歩合50%、国産米100%使用、蔵出2020.05」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 酒名「くどき上手」は、極めてインパクトがあり、ともすればナンパの帝王のように受け止められるが、もちろん全く違う。ブログ「美味しい地酒・日本酒」は、以下のように説明している。

「『くどき上手』の由来は、社長夫人の康子さんが戦国時代を生き抜いた武将からヒントを得たもので『何人も問わず武力でなく誠心誠意《説き伏せ》心を解く、心を溶かすように魅了する』、ご主人も同様に仲間から信頼され、説得力のある『くどき上手』を感じて命名されたそうです」。今で言うなら“説得上手”とでもいえようか。

酒蛙

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