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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4456】酔鯨 純米吟醸 吟麗(すいげい)【高知県】

2021.1.18 19:01
高知県高知市 酔鯨酒造
高知県高知市 酔鯨酒造

【I料理店にて 全4回の①】

 コロナ禍で、飲食業は大苦戦している。そういえば、なじみのI料理店はどうしているだろうか。気になって暖簾をくぐった。おもった以上に客が入っていた。「いいじゃないか」と励ましたつもりだったが、「今日だけですよ」と店主は冴えない表情。すこしでも早くコロナ禍が去り、客が戻ってほしいものだ。

 この日トップバッターとして飲んだのが「酔鯨 純米吟醸 吟麗」だった。「酔鯨」は飲む機会が多い酒で、当連載でこれまで、14種類を取り上げている。まった同じ商品名「酔鯨 純米吟醸 吟麗」は、当連載【204】で取り上げている。ただ、【204】の吟麗は、使用米がたしか「松山三井」だったはず。わたくしは、この「松山三井」で醸したお酒が好きだった。今回の使用米は、北海道産の「吟風」だ。高知県の酒蔵が、北海道産の酒米を使うのは、極めて異例のことだ。さて、いただいてみる。

 香りは抑えられており、すっきり、さっぱりとした口当たり。中盤から余韻にかけては爽やかな酸、苦み、辛み。キレも良い。旨みが適度に入っており、ざっくり言うと淡麗旨辛酒だ。絵に描いたような、飲み飽きしない食中酒だ。

 この酒について、蔵のホームページは「キレ良く飲み飽きのしない純米吟醸酒。コストパフォーマンスに優れた一本」とし、以下のように紹介している。
【造り】。
 当社が本格的に吟醸酒の販売を始めた最初の商品で、現在でも酔鯨を代表する純米吟醸酒です。これまでの造りの技と経験を生かし、素材の旨みを引き出しました。原料米には「吟風」を使用。精米歩合は50%まで磨き、しっかり造った麹と共に低温でじっくりと醸しました。
【味】
 素材の旨みに酔鯨独特の酸味を組み合わせ、「味わいに幅があるのにキレが良いお酒」に仕上げました。酸味や苦味など「味の五味」を十分に引き出し、味わいの幅を広げました。香りはあくまで控えめとし、一緒に頂くお料理の良さを引き出します。

    ◇

 ホームページのスペック表示は「原材米 吟風(北海道) 、精米歩合50%、保温温度 室温、アルコール度数16度、日本酒度+7、酸度1.7、アミノ酸度1.2」。また、瓶の裏ラベルのスペック表示は「原料米 北海道産酒造好適米 吟風(使用割合100%)、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合50%、アルコール分16度、製造年月2020.07」。

 使用米の「吟風」(ぎんぷう)は、北海道立中央農業試験場が1990年、母「八反錦と上育404号の子」と父「きらら397」(主食用米)を交配、選抜と育成を繰り返し品種を固定。1999年に命名、2002年に品種登録された、北海道で栽培されている酒造好適米だ。

「吟麗」は、酔鯨酒造が吟醸酒造りを始めた最初の商品にして、現在もなお蔵のラインナップの中核となっている商品だ。

 酒名・蔵名の「酔鯨」の由来は、「日本の名酒事典」によると「明治5年創業。酒名は幕末の土佐藩主・山内容堂の雅号『鯨海酔侯』に由来」。山内容堂は大酒飲みで知られる。2010年NHK大河ドラマ 「龍馬伝」で、近藤正臣が山内容堂役を怪演した。

 山内容堂は、以下の漢詩を詠んだ。「昨日酔橋南 今日酔橋北 有酒可飮吾可酔(以下略)」。読み下しは「昨日は橋南に飲み、今日は橋北に酔う、酒あり飲むべし 吾、酔うべし」。これを現代訳をすると、以下のようになる。「昨日は橋の南で(酒に)酔って。 今日は橋の北で(酒を飲んで)酔っている。 酒があるので、飲むべきであり、わたくしは酔っぱらってもいい」。さすが大酒飲み容堂公の漢詩だ。

 

酒蛙

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