【4415】丹誠 特別純米 生原酒(たんせい)【大分県】

【日本酒研究会月例会 全6回の③】
コロナ禍で4月から7カ月間、開催を自粛していた日本酒研究会の月例会。そろそろ再開していいだろう、と8カ月ぶりに例会を開いた。会では長年、M居酒屋をホームグラウンドに使ってきたが、諸事情があり、店を変える必要に迫られた。そこで、わたくしが新しいホームグラウンドに選んだのが、なじみのE居酒屋だった。この店は、酒の品揃えが素晴らしい。ふだん、目にしない銘柄も冷蔵庫に並ぶ。セレクションにセンスが感じられる。それが指名の要因だった。
「双葉山 至宝 本醸造」「佐伯飛翔 純米 槽しぼり」と飲み進め、3番目にいただいたのは「丹誠 特別純米 生原酒」だった。これも、「双葉山」「佐伯飛翔」同様、わたくしたちにとって初蔵酒だった。会の目的のひとつが「日本の現役蔵の酒を全部飲むこと」。今まで約1180蔵の酒を飲んでいるが、このくらいまで飲み進めると、なかなか初蔵酒に出会えない。そこを理解して初蔵酒を用意してくれたバイヤーさんに感謝、感謝、だ。さて、今回のお酒をいただいてみる。
酒蛙「この香り、超個性的。飴を煮詰めたような濃い香りがすごい」
Y 「甘い」
F 「とろみがある」
酒蛙「たしかに。甘み濃醇でとろみがある。甘みが分厚い。甘みは旨みを伴う。後から酸が追いかけてくる」
N 「独特な味と香り」
F 「甘みを抑えた水飴みたいな印象」
K 「でも、原酒ってこんな感じだよ」
I 「独特な香りだね」
N 「このような香りの酒は、今まで飲んだことがない」
酒蛙「濃い甘旨みと力強い酸が合体。基本的に甘旨酸っぱいのだが、それでくくれない、複雑で言葉で表現できないような味わいだ」
瓶の裏ラベルは、この酒を「丹誠込めた、丁寧な麹造りと小仕込にて造りました。しぼってそのままのお酒を飲んでいる気分を味わっていただけます」と紹介している。
裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 麹米/山田錦 掛米/ヤマダワラ、精米歩合 麹米/55% 掛米/55%、酵母 9号系、アルコール分 17度以上18度未満、製造年月20.6」。
使用米の「やまだわら」は、(独)農研機構吸収沖縄農業研究センター/低コスト稲育種研究九州チームなどが、超多収日本型・良食味品種の作出をめざし2000年、母「泉348」と父「関東192号」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。2011年に命名、2014年に種苗法登録された、主に食用が想定された新しい品種だ。
酒名「丹誠」の由来について、日本の名酒事典は「酒名は“丹誠込めて酒造りをする”との思いから命名した」と説明している。