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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4385】豊盃 純米吟醸 月秋(ほうはい)【青森県】

2020.11.3 20:46
青森県弘前市 三浦酒造
青森県弘前市 三浦酒造

 友人Yが異動に伴い、当地を離れることになった。Yとは2人で何度も居酒屋に繰り出し、日本酒を愉しんだものだった。送別会は当然、居酒屋で。そして、当然、なじみのH居酒屋だ。Hの主人は、わたくしたちのために、「豊盃 純米吟醸 月秋」を1升用意してくれた。酒名「月秋」を名乗っているので、このお酒はひやおろしだ。

「豊盃」は飲む機会が多い酒で、当連載でこれまで、27種類を取り上げている。香りが華やかで、軽快感のある酒、というイメージを持っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 上立ち香・含み香が完熟メロンのような香り。かなりフルーティーな味わいで、甘旨みが主体。後味の苦みが長い。全体として、軽快感がありながらも、やわらかな口当たりで、けっこうボディー感がある。余韻は苦みと渋み。酸はあまり出ておらず、ほのか程度。しかし、キレが良く、飲み飽きしない。

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分16度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合55%、製造年月2020.8」にとどまり、使用米の品種が非開示なのは残念だ。ただし、酒屋さんの各サイトでは使用米を「豊盃」と紹介している。

 酒名の「豊盃」は、酒造好適米品種「豊盃」にちなむ。「豊盃」は、青森県農業試験場が1967年、母「古城錦」(その母は五百万石)と父「レイメイ」(主食用米)を交配、1976年に命名された。現在は、契約栽培で、この三浦酒造しか使用していない。1976年当時の青森県知事竹内俊吉氏の地元(旧・木造町、現・つがる市)の津軽民謡の「ホーハイ節」から、当て字で「豊盃」と命名された。ラベルの字も竹内さんの筆による、とされている。

 ところで、「豊盃 純米吟醸 月秋」を飲み干してしまっていいものとばかりに、ぐいぐい飲んだら、すぐに空っぽになりそうに。これを見た店主が大慌て。「ス、ス、ストップ! ほかのお客さんにも飲んでいただきたいので」と、別のお酒に代えさせられた。手に入りにくいお酒なんだろうな。なんだかおかしくて、みんな大笑いだ。

酒蛙

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