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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4380】まんさくの花 premium edition 純米吟醸生原酒 中ぐみ【秋田県】

2020.10.28 17:25
秋田県横手市 日の丸醸造
秋田県横手市 日の丸醸造

【E居酒屋にて 全9回の⑤】

 新しいお酒がある程度そろったら、連絡をくださいね。わたくしは、E居酒屋のママにこうお願いしている。年金暮らしの今、そしてコロナ禍で東京のなじみの居酒屋に行けない今、効率的に「日本酒津々浦々」の取材をするには、この方法が一番だ。こうして、E居酒屋に酒友3人と出かけた。

「壬生」「加茂錦」「桂月」「写楽」と飲み進め、5番目にいただいたのは「まんさくの花 premium edition 純米吟醸生原酒 中ぐみ」だった。

 このお酒は、店からのサービス酒。「まんさくの花」の「荒ばしり」「中ぐみ」「責めどり」3本をテーブルの上にドドーンと立て、「この中から選んでね」ときたもんだ。この企画は本来、3種類を飲み比べてね、という趣向だとおもうから3つ飲まなければならない、とおもうのだが、1つだけ選ぶなら当然「中どり」だ。

 ひとつのタンクで造ったもろみを、伝統的な槽で搾るとき、最初に槽口から出てくるのが「荒ばしり」、真ん中の一番質が良い部分を「中取り」、そして最後の部分を「責め」という。それらの酒質について、この蔵のホームページは以下のように解説している。

 🔻荒ばしり=もろみの重みで自然と搾られる。袋の目は徐々に詰まっていくため、「うすにごり」でフレッシュ感満載 🔻中ぐみ=積んだ酒袋の上から圧をゆっくりとかける。最も綺麗で透明感のある酒質 🔻責めどり=強い圧をかけ、最後まで搾る。味が濃く、しっかりとした辛みのある酒質。

 荒ばしり、責めをうたったお酒を出す蔵が増えてきた。とくに酒粕一歩手前の部分を搾った「責め」は近年「裏」と称する名称で売られるケースが多い。「責め」より「裏」の方が買いたくなるもんね。

 ところが今回のシリーズは、1つのタンクから「荒ばしり」「中取り」「責め」を取り分けて販売するという、極めてレアなケースだ。同じ酒なのに、部分によって味が違うことを知ってもらいたい、というものだ。蔵のホームページによると、このような手間がかかるやり方をしているのは、全国でも数社しかない、という。これについて、ホームページは以下のように説明している。

「伝統の槽(ふね)しぼりは、一日半をかけてゆっくりとお酒を搾る技法です。この搾り始め(荒ばしり)と搾り終盤(責めとり)のお酒は大きくその表情を変えますが、通常それらを分けて発売することはありませんので、その違いを愉しめるのは我々蔵人のみということになります。
 この違いは思いの外顕著で、飲み分けてみると非常に面白く、皆様にもお楽しみいただくべく一年に一度、「純米吟醸まんさくの花」の新酒を特別に取り分けて発売するのがこの「荒・中・責」です。
「荒ばしり」のみという商品は数多くありますが、同じ一本のタンクから「荒ばしり」「中ぐみ」「責めどり」を取り分けるお酒は全国でも当社と恐らくは数社のみしか行っていない試みになります。楽しむを超えて、お酒を愉しむまんさくの花のPremium edition。是非ともお愉しみ下さい」

 また、瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「伝統の槽(ふね)で搾られたお酒は、搾り始めと終わりで大きくその表情を変えます。その違いを愉しんでいただくために、『純米吟醸 まんさくの花』の新酒から『荒ばしり』『中ぐみ』『責めどり』を分けて瓶詰めを行いました。
『中ぐみ』は搾りの丁度真ん中のタイミングです。搾りに使うやや粗い酒袋の布目が徐々にもろみ(酒粕)で詰まって細くなり、最も透明感のある酒質が絞られる行程です。搾りには『荒ばしり』で濁っていたお酒が突如“スッ”ときれいな酒質『中ぐみ』に変わる瞬間があり、この時間を見極めてなるべく綺麗な『中ぐみ』部分を取り分けました」

 前段が長くなった。さて、「中取り」をいただいてみる。甘いっ! これが第一印象だった。甘みは旨みを伴う。酸も出ており、キレが良い。甘みが出ているお酒は一般的にキレは良い方ではないが、これはキレが良い。造りが上手い。総じて甘酸っぱい味わいとなっている。余韻は辛みと苦み。余韻の辛みが長い。甘・旨・辛・苦がそれぞれきちんと出ており、しかもバランスが保たれている。きれいで品のある味わいのお酒だとおもった。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合50%、アルコール分17度、製造年月2020.01」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。しかし、ホームページでは以下のように開示している。「原料米 秋田県産秋田酒こまち等 ※年度で変更あり、日本酒度 +1、酸度 1.4、アミノ酸度 1.0、使用酵母 AKITA雪国酵母(UT-1) ※年度で変更あり」

 使用米の「秋田酒こまち」は秋田県農業試験場が1992年、母「秋系酒251」(その母は「五百万石」)と父「秋系酒306」(その父は「華吹雪」)を交配。育成と選抜を繰り返し開発、2004年に品種登録された酒造好適米だ。

 酒名「まんさくの花」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「昭和56年にNHKの朝の連続ドラマ『まんさくの花』が横手市を舞台に放映されたのを機会に誕生した、当社の代表銘柄です。当時主力商品だった『日の丸』のやや重みのある酒質とは違う、『きれいで優しい酒質』への挑戦を志して誕生した当ブランドは、現在でもなお珍しい、ひらがなの墨文字をラベルに採用しました。炭文字自体が珍しかった時代としては、非常に挑戦的なラベルでした。(ご揮毫は今関枝竹先生にお願いしました。(令和)天皇陛下の書道ご進講役を没年まで務められた今関脩竹先生の奥様です)

 また、蔵名および昔からの酒名「日の丸」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「創業元禄二年(1689年)。当社の社名でもある『日の丸』は、秋田藩主・佐竹公の紋所『五本骨の扇に丸印(日の丸・月丸)』に因んで命名されたと伝えられており、明治40年登録商標済の日本で唯一無二の酒名です」

酒蛙

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