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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4345】酔鯨 純米吟醸 吟麗 summer(すいげい)【高知県】

2020.9.22 21:53
高知県高知市 酔鯨酒造
高知県高知市 酔鯨酒造

【Z料理店にて 全5回の①】

 コロナ休業から店を再開したあと、なぜか足が遠のいていた近所のZ料理店。客が減り苦しい営業を続けているだろうから行ってあげなきゃ、と思いつつ、機会がなく胸を痛めてきた。機会を見つけ、ほぼ4カ月ぶりに暖簾をくぐった。やはり客は少なく、厳しい状況がひしひしと伝わってくる。

 今回、トップバッターに選んだのは「酔鯨 純米吟醸 吟麗 summer」。たぶん淡麗辛口酒だろう、と考え、トップバッターに起用した。複数の酒を飲む場合、淡麗から濃醇へ、辛口から甘口へ、とシフトしなければ、酒それぞれの本来の味を味わえないからだ。これが逆シフトだと舌センサーが対応できず、悲惨な結果となる。

 酔鯨酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで12種類を取り上げている。わたくしは中でも「酔鯨 純米吟醸 吟寿」の大ファンで、その柑橘系の香りに魅了され、居酒屋で見つけると必ず飲んできたものだった。しかし、蔵のホームページを見ると、生産が終わったようで、実にかなしいおもいをしている。蔵関係者がこの拙文を目にしたならば、「吟寿」の復活に向けて動き出していただきたい、と切に望んでいる。

 さて、今回のお酒はどうか。いただいてみる。清涼感のある、さっぱり、すっきりした口当たりで、キレが良い。味わいの中心は酸と辛み。余韻は辛みと苦み。ずばり淡麗辛口酒。いかにも夏に適したお酒だった。飲み疲れることなく盃を重ねられる酒質だった。

 定番の「吟麗」との違いについて、複数の酒屋さんのサイトは「定番の『吟麗』は熊本酵母KA-1を使用しますが、この『吟麗 summer』は酸度が高くスッキリとした味わいを実現する熊本酵母KA-4を使用しています」と説明している。つまり、夏向き用につくりを変えた、ということだ。

 酒屋さんのサイトでは蔵元さんのコメントを掲載しているところもある。以下に転載する。

「【蔵元コメント】吟麗シリーズは本年度の造りより、原料米をこれまでの『松山三井』から『吟風』に変更しました。本品につきましても原料米には『吟風』を主体に使用しました。(一部、松山三井を使用)。仕上がったお酒は、お米由来の柔らかい香りも感じられながら、一方で"酔鯨らしい"キレの良さも感じられました。冷やして飲むと酸味や軽やかな苦味が程よく感じられ、夏のお酒にはピッタリかと思います。また、少し温度を上げるとお米(吟風)由来の香りがより引き立ちます」

 使用米の「吟風」は、北海道立中央農業試験場が1990年、母(「八反錦」と「上育404号」の子)と父「きらら397」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1999年に命名、2002年に種苗法登録された酒造好適米。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合50%、アルコール分16度、製造年月2020.06」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 酒名・蔵名の「酔鯨」の由来は、「日本の名酒事典」によると「明治5年創業。酒名は幕末の土佐藩主・山内容堂の雅号『鯨海酔侯』に由来」。山内容堂は大酒飲みで知られる。2010年NHK大河ドラマ 「龍馬伝」で、近藤正臣が山内容堂役を怪演した。ラベル絵は、クジラの尻尾だ。

酒蛙

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