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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4337】くどき上手 純米大吟醸 Jr.の摩訶不思議ちゃん 44(くどきじょうず)【山形県】

2020.9.14 22:38
山形県鶴岡市 亀の井酒造
山形県鶴岡市 亀の井酒造

【E居酒屋にて 全9回の⑦】

 なじみのE居酒屋のバイトNさんからカラオケの勝負を挑まれた(E居酒屋にはカラオケ装置がある)。精密採点(コンマ3桁まで採点される)で勝負しようというわけだ。Nさんは、なかなかの自信家だ。課題曲は「危険なふたり」(沢田研二)と「最後もやっぱり君」(Kis-My-Ft2)の2曲。わたくしはこの1カ月、決戦に備えスナックやボックスなどで、この2曲の練習をしてきた。そしてこの日、さあ勝負だ! とE居酒屋に乗り込んだ。ところがNさんは所用で不在。なんということだ。

「古伊万里」「裏百楽門」「裏死神」「日下無双」「月桂冠」「裏萩の鶴」と飲み進め、7番目にいただいたのは「くどき上手 純米大吟醸 Jr.の摩訶不思議ちゃん 44」だった。この蔵のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで、23種類を取り上げている。うち「Jr.」シリーズは2種類を取り上げている。「Jr.」については、「地酒サンマート」のサイトが「くどき上手 Jr. 純米大吟醸 生詰」(当連載【1242】)について説明している中で、「くどき上手のご子息であるスーパー専務『今井俊典氏』が全行程を手掛けた衝撃のデビュー作、兵庫特A山田錦を44精米、M310・協会1801酵母にて仕込んだ純米大吟醸です。今までのくどき上手になかった新しい綺麗な酸と香りを是非ご賞味下さい」。つまり、「Jr.」は、蔵元さんの息子さんなのだ。

「くどき上手」は総じて、香り立つお酒、というイメージを持っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 ナシのような果実状の上立ち香が華やか。含むとおもわず「甘っ!」と声に出る。非常に甘みを感じる。甘みと旨みとナシ似の人工香料をおもわせるフルーティーな香りが、全体として華やかなたたずまいを構成している。酸はあまり感じられない。中盤から余韻にかけては辛みが出てきて全体を引き締めている。リッチ感のあるお酒だ。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「麹への愛、醪への愛、蔵人への愛情で 日本酒の味とはこんなに違うものなんです Jr.の不思議ちゃんとは 仕込んでいる酒米は山田錦で同じ なんと違いはたった精米歩合1% どんな不思議な違いを 味わって頂けるかが楽しみです」

 初めてこの酒に接する人にとって、この説明文は、なんのこっちゃ、とおもうほど意味が分からない。もっとも、意味不明の文章で買い手を惹きつける、という高等テクニックがあるが・・・。

 これについて、山形県酒田市の阿部酒店のサイトは、以下のように説明している。

「『摩訶不思議ちゃん』という名は、今年1月に発売した「不思議ちゃん」との比較によります。同じ山田錦で同じように仕込んだ二つのお酒の違いはたった1%の精米歩合。45%と44%の精米です。それで違う表情のお酒が出来上がる『不思議』です」

 かなりオタッキーな話ではある。精米歩合が1%違って、味がどう違うのか? そもそも、「摩訶不思議ちゃん」と「不思議ちゃん」という2種類の酒を並べてテイスティングしないと分からない。そもそも、2種類をグラスに入れ、並べて味見をしても、違いが分かるとはおもえない(少なくともわたくしの舌では)。まあ、“1%違い”をやってみたかった、というだけの話なのではないだろうか。ただ、話題づくりとしては良いのではないだろうか。違う意図だったとしたら、ごめんなさい。謝ります。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「アルコール分16度以上17度未満、原材料名 米・米こうじ、原料米 山田錦100%、精米歩合44%、国産米100%使用」。裏ラベルの一番下に、大きな字で「日本酒って面白い。」と書かれている。

 酒名「くどき上手」は、極めてインパクトがあり、ともすればナンパの帝王のように受け止められるが、もちろん全く違う。ブログ「美味しい地酒・日本酒」は、以下のように説明している。

「『くどき上手』の由来は、社長婦人の康子さんが戦国時代を生き抜いた武将からヒントを得たもので『何人も問わず武力でなく誠心誠意《説き伏せ》心を解く、心を溶かすように魅了する』、ご主人も同様に仲間から信頼され、説得力のある『くどき上手』を感じて命名されたそうです」。今で言うなら“説得上手”とでもいえようか。でも、その武将って、いったい誰なんだろう???

酒蛙

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