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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4327】防雪林 特別本醸造 芳醇 風 辛口(ぼうせつりん)【青森県】

2020.9.4 13:55
青森県上北郡七戸町 盛田庄兵衛
青森県上北郡七戸町 盛田庄兵衛

 なじみのスナックで月に1回、常連会があり10~15人がお酒を飲みながら、和やかに歓談する。ある日、Yさんがこんなことを言った。「鉄道防雪林の酒があるんだ」。YさんはJRのOBだから、鉄道関係は詳しいのだ。「すごいな。初めて聞いたよ。まったく知らなかった」とわたくし。Yさんは「おっ、知らないか。お~し、次回の常連会に持ってくるかんな」と大張り切り。そして翌月、わたくしたちの目の前に「防雪林」の一升瓶が鎮座した。

 まずはいただいてみる。以下は、そのときのわたくしのテイスティングメモだ。“てにをは”を整えただけで、ほとんど原文ママだ。香りは抑えられている。すっきり、さらりとした口当たりで辛口。旨みがほどよくあるのがいい。単に辛みだけに走らず、旨みも出しているのがいい。なかなかの設計だ。余韻は辛み。飲み飽きしない酒質だ。本醸造酒にありがちな“臭み”はまったく無い。きれいなお酒だった。それこそ、雪をおもわせるような酒質だった。

 酒が入ってきた紙箱には、以下の説明文が印字されている。

「のへじ防雪林とは…………冬のきびしい地吹雪から鉄道を守るために、明治26年、埼玉県菖蒲町出身の本多静六林学博士(東大農学部教授)の提案により創設された日本最古の鉄道防雪林で、鉄道記念物に指定されています。今、また新しい村おこしとして、この生きた遺産が注目されています。     防雪林の会」。この防雪林は青森県上北郡野辺地町の旧東北本線野辺地駅付近にある。

 青い森鉄道のサイトの「野辺地町」の項では、鉄道防雪林について、以下のように説明している。

「明治24年9月、盛岡・青森間の開通によって東北本線が全通しました。当時、国内鉄道の最北端にあたる当地方の冬季の列車運行は、連日の雪害によって極度の困難に直面していました。 翌25年、ドイツ留学を終えて帰国まもない青年林学者・本多静六博士が『鉄道の防雪には森林をもってすることが、すべての面で最善である』と、時の日本鉄道株式会社重役・渋谷栄一に進言したところ、直ちに採用されて早速第一次の設置箇所決定の運びとなりました。翌年一斉に造林が実施され、ここにわが国初めての鉄道防雪林が誕生しました」

 土木学会選奨土木遺産のサイトによると、防雪林の主な樹種はスギで、長さ400m、幅50mとのこと。

 このお酒は、青森県上北郡野辺地町の酒販店「鷹場商店」のPB商品。もともとは地元野辺地町の酒造会社・睦鶴酒造につくってもらっていたが、睦鶴酒造が2009年に閉鎖されたことに伴い、隣町の酒造会社・盛田庄兵衛に同じ酒質で引き続き製造してもらっている。

 鷹場商店のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「原材料は青森県産のお米と米麹を使用しました。香りは控えめでお米の旨みがしっかりと感じられる、スッキリとした辛口になります。七戸町の醸造所を構える、盛田庄兵衛にて生産しています」。わたくしは飲み会でのテイスティング後、しばらくしてから同ホームページを見たのだが、全く同じコメントで仰天ぶったまげた。違うテイスターが同じ表現でその酒を紹介することは、まず無いからだ。

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分15度以上16度未満、原材料名 米(青森県産)米麹(青森県産米)醸造アルコール、精米歩合60%、製造年月2020.6」。

酒蛙

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