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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4322】風の森 Challenge Edition 真中採り 雄町 407 純米奈良酒 無濾過無加水生酒(かぜのもり まなかどり)【奈良県】

2020.8.30 17:59
奈良県御所市 油長酒造
奈良県御所市 油長酒造

【B居酒屋にて 全6回の②】

 月1回のペースでB居酒屋に足を運んでいる。この店は酒の品揃えが豊富で、非常に勉強になる。なにより当連載「日本酒津々浦々」の取材になる。頻々と暖簾をくぐってもいいのだが、そうなると新規のお酒に巡り会えない。「日本酒津々浦々」は、わたくしにとって新規のお酒ばかり取り上げているので、それでは困る。したがって経験則から、酒の入れ替えのリズムに合わせるには月1回の来店、ということになる。

 今回、「鳳凰美田」に次いでいただいたのは「風の森 Challenge Edition 真中採り 雄町 407 純米奈良酒 無濾過無加水生酒」だった。「風の森」は甘旨酸っぱくてジューシーな、モダンな味わいで、わたくしの極めて好きな銘柄の一つ。飲む機会が多く、当連載でこれまで、17種類を取り上げている。

 さて、いただいてみる。開栓のとき「ボンっ!!!」という強いガス音が出て、周囲はびっくり。しゅわしゅわ感あり、サイダーのようなジューシーで甘旨酸っぱい味わい。これが第一印象。やわらかで軽快感のある口当たり。余韻は苦み。さまざまな味の中でも甘みが一番出ている。甘みが出ているものの、きれい感・上品感・さわやか感がある。完熟イチゴ系の香りは控えめ。全体として、透明感という「風の森」のDNAがたっぷり出ている味わいだ。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「年に一度、社員の想いから仕込みます。イチゴや白ブドウを思わせる華やかな香りに、優しい口当たり、味わいの透明感あるお酒になりました。なかでも真中採りは、搾ったお酒の中でも、搾り機の圧をかけずに滴り落ちる部分。口当たりは柔らかく、香り豊か。一度限りのチャレンジです」

 裏ラベルのスペック表示は「発酵日数32、洗米・浸漬 前田英臣、蒸米 中川大奨・塩口瑛信、麹 山ノ内紀斗、酒母 清水洋介、醪 中川悠奈、上槽 阿曽広侑、出荷 山下晃司・吉田一香、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、岡山県産 雄町100%使用、精米歩合40%、アルコール分16度、2019BY、製造年月2020.06、仕込水 金剛葛城山系深層地下水 超硬水 硬度250mg/L前後」。

 これには驚いた。洗米・浸漬、蒸米、麹、酒母、醪、上槽、出荷…それぞれの責任者の名がラベルに書かれているではないか。多くの酒ラベルを見てきたが、このような蔵人の紹介の仕方は初めてみた。蔵人のみなさまがたは、さぞ励みになったこととおもう。

 気になるのは、酒名の「奈良酒」と「407」。蔵のホームページを見ても、その意味が分からない(わたくしが探せないだけかもしれないが)。もっと見やすいところで説明していただきたい。

 蔵元さんに代わり、大阪府泉大津市の酒販店「鍵や」のサイトが、以下のように説明している。

「風の森シリーズでは『純米』や『純米吟醸』などの特定名称酒を廃止し、全てに『純米奈良酒』と表記。精米歩合と使用酵母を表わした呼称に統一されています。3桁の数字の内、下一桁は使用酵母(7号酵母)、上二桁は精米歩合を表しています」。つまり、「407」の意味は、精米歩合40%で、7号酵母を使用している、ということになる。なんと純米大吟醸クラスのスペックだった。

 精米歩合を表示すれば、純米、特別純米、純米吟醸、純米大吟醸の区別するのは意味が無い、ということなのだろう。その考えにわたくし、理解を示すが、ラベルかホームページに、「鍵や」のサイトが書いたようなことを明記していただきたいものだ(わたくしがサイトで探せないだけかもしれないが)。

 酒名「風の森」の由来について、蔵のホームページは「御所市内にある地名『風の森峠』に由来します。緑豊かな葛城金剛山麓に位置し、一年心地よい風が峠を駆け抜けます」と説明している。

 また、大和屋酒お舗(広島市)のサイトは、以下のように説明している。「『風の森』の酒名は同市内にある風の森峠から付けられました。峠付近は、日本で一番早く稲作が行われた地域だといわれ、金剛山麓から強く吹き抜ける風を避け五穀豊穣を祈願して、風の神である志那都彦神(しなつひこのかみ)を祭神とする『風の森神社』が近くの森に祀られています」

酒蛙

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