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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4319】貴 特別純米 ふかまり(たか)【山口県】

2020.8.28 16:34
山口県宇部市 永山本家酒造場
山口県宇部市 永山本家酒造場

【父の日プレゼント 全8回の⑦】

 息子が2013年から毎年、父の日に、カップ酒の詰め合わせを送ってくれる。毎年8種類ずつ。これがとても楽しみだ。ありがたい。感謝感激だ。ことしで8年目。重複したものが無いから、これで64種類。カップ酒の世界はなかなか奥が深そうだ。

「天穏」のカップ2種類、「若戎」「松尾」「いづみ橋」「秋鹿」と飲み進め、7番目にいただいたのは「貴 特別純米 ふかまり」だった。「貴」は、多くの種類を飲んでいる印象だったが、調べてみたら当連載でこれまで、7種類しか取り上げていなかった。それなのに、多く飲んでいる印象を持っている、ということは、わたくしにとって、インパクトのある酒質、ということなのだろう。

「旨っ!」。おもわず声に出る。味わい甘旨酸っぱく、ジューシー。まさに酒造業界トレンドのモダン的な味だ。旨みが良く出ているのに、キレが非常に良く、すぱっとキレる。余韻は辛・苦み。この辛・苦みが長い。このため、甘旨みが十分出ているのにくどくはならず好ましい。香りは抑られており穏やか。かなりふくよかで、熟感のある丸い味わい。

 ラベルのスペック表示は「アルコール分15度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 山田錦100%、精米歩合60%、製造年月2020.5」。

 酒屋さんのサイトを見ると、この「ふかまり」は、これまでの「ひやおろし」の名を変えたものとのこと。考えてみれば、「ひやおろし」とは、夏の間涼しい場所で熟成させ、秋のひんやりした風が吹くころに出荷するのが「ひやおろし」という言葉の意味だ。ところが近年、過当競争のため、8月のお盆過ぎ当たりの、ギンギン酷暑のころに「ひやおろし」と銘打った熟成未満の酒を出す蔵がずいぶん増えてきた。これは「ひやおろし」の意味を完全に逸脱している。そこで、時期にこだわらず、「ひやおろし」のような熟成をさせた酒、ということで「ふかまり」というネーミングにしたのだそうだ。なるほど。蔵元さんの考え・メッセージに大いに共感する。

 酒名「貴」の由来について、ホームページを見てみたが、説明はなかった。ただ、ホームページに掲載されている、蔵の年表を見たら「2001年(平成13年) 永山貴博が杜氏になる、2002年(平成14年) 「貴」の発売開始・全国販売の開始」という記述があった。これらから、「貴」という酒名は、永山貴博さん(現・代表取締役兼杜氏)が杜氏に就任したとき、自分の名の一文字を使った酒を開発、新商品にしたことがうかがえる。熱い心意気が込められた酒名なのである。

酒蛙

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