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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4301】一代弥山 特別純米 Sherry Cask Finish(いちだいみせん)【広島県】

2020.8.17 17:00
広島県廿日市市 中国醸造
広島県廿日市市 中国醸造

【B居酒屋にて 全6回の②】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。コロナ休業のあと営業を再開したが、なかなか客が戻らない様子。宴会ができるようになれば、利用する話はつけているのだが、それがいつになるのか。店もわたくしも、もどかしいおもいだ。

 今回、最初に選んだのは「黒龍 春しぼり 吟醸 原酒」。続いていただいたのは「一代弥山 特別純米 Sherry Cask Finish」だった。「一代弥山」は当連載でこれまで、2種類を取り上げている。店長が「このお酒は、シェリー樽で貯蔵したものです」と教えてくれた。おおっ、それは楽しみだ。これまでの経験から、シェリー樽で貯蔵した酒は、日本酒らしくない相当ジューシーな酒に仕上がるからだ。しかし、予想に反し、いわゆる日本酒とそれほど振れ幅が大きくない酒だった。

 第一印象は、さらっとした口当たりの辛口酒。一呼吸遅れて酸が出てくる。余韻の辛み・苦みが長い。押味あり。全体的に辛みと苦みが強い酒だ。これが最初の印象。この段階で内心、「あれれれ?」とおもう。

 ふつう一般的には、シェリー樽で貯蔵した日本酒は、非常に果実的でジューシー、そして甘旨酸っぱいお酒で、いわゆる日本酒じゃない南国フルーツ的な味わいの酒になるが、これは違っていた。当たり前ではあるが、かなり日本酒に寄っている。若干、果実的な香りはあるが、シェリー酒をあまり感じさせない。これは驚きだ。ひとことで言うならば、淡麗辛口酒に、味と酸が付随する酒、というイメージだ。口が慣れてくると、次第に酸が出てくる。

 それでも、若干はシェリー的ニュアンスは感じられる。そこがこの酒の狙い目なのかもしれない。イケイケモードで、派手な味を出すのではなく、そこはかとなくシェリー樽を感じさせる作戦か。なかなかできることではない。大したものだ。

 おかしいなあ、とおもいながら後日、裏ラベルを撮影した写真をパソコンで見たら、その理由が分かった(わたくしは、裏ラベルを読まないで飲んでいたのだ)。そこには以下のような紹介文が書かれていた。

「白ブドウを思わせる辛口の純米吟醸酒にシェリー樽で貯蔵した純米酒をブレンド。フレッシュな香りと干しぶどうの甘い香りに熟成感をプラスすることで、今までにない味わいの純米酒に仕上げました」(ホームページでは、ペドロヒメネスの樽で熟成していることを明らかにしている)。つまり、シェリー樽貯蔵100%のお酒なのではなく、普通の純米吟醸酒にシェリー樽貯蔵酒をブレンドしたのだった。だから、シェリー樽貯蔵100%のお酒よりも日本酒寄りのお酒になったのだった。

 裏ラベルのスペック表示は「アルコール分16度以上17度未満、原材料名 米(広島県産)米麹(広島県産米)、精米歩合65%、使用米 八反錦100%、保存方法 冷暗所保存、製造年月19.12」。

 使用米の「八反錦」は広島県立農業試験場が1973年、母「八反35号」と父「アキツホ」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1983年に命名、1984年に種苗法登録された酒造好適米。今や、「八反錦」といえば広島、広島といえば「八反錦」というほど、全国的に著名な酒米となっている。

 酒名「一代弥山」の由来について、「一代弥山 純米吟醸 無濾過 原酒」(当連載【2212】)の瓶の裏ラベルは、以下のように説明している。

「日本三景のひとつ、瀬戸内海に浮かぶ厳島。古来、秀麗なる山容に神霊を感じた人々が海を隔てて遥拝し、山岳信仰の対象としてきました。厳島の主峰、標高五百三十五メートルの『弥山』は数々の歴史ロマンを語り継いできました。その『弥山』を対岸にのぞむ蔵で醸した清酒です。『弥山』の崇高なる自然を想う味わい深い佳酒です」

酒蛙

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