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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4285】三芳菊 山廃 純米 生酒 山田錦 70(みよしきく)【徳島県】

2020.8.3 11:19
徳島県三好市 三芳菊酒造
徳島県三好市 三芳菊酒造

【B居酒屋にて 全8回の⑤】

 コロナ感染防止のための緊急事態宣言が解除された当地では、居酒屋が徐々に営業を再開している。なじみのB居酒屋も5月7日から営業を再開した。さっそく暖簾をくぐったが、まだ客は戻っていないようで、店長やスタッフは浮かない顔だ。しかし、居酒屋できちんと飲むのは1カ月ぶりというわたくしは、大張り切りで8種類の酒を飲んだ。

「獅子吼」「東一」「萩の鶴」「新政」と飲み進め、5番目にいただいたのは「三芳菊 山廃 純米 生酒 山田錦 70」だった。「三芳菊」は当連載でこれまで5種類を取り上げている。調べてみて、この数字に仰天した。たった5種類しか取り上げていなかったのか、と。なぜなら、味もラべルも酒名も、極めてインパクトがあるからだ。印象では20種類くらい飲んでいる気分。だから驚いたのだった。わたくし個人的に、日本全国の造り酒屋で、三芳菊酒造が一番ヤンチャだとおもっている。おそらく、同意見の日本酒ファンが多いはずだ。

 味わいでは「三芳菊」に対して、激超甘口というイメージを持っていた。ところが、今回のお酒は激超酸味酒だったのだ。あくまでもヤンチャな三芳菊である。でもわたくし、ヤンチャ大好き人間なのだ。さて、今回のお酒をいただいてみる。

 おおおおっ! おもわず声に出た。酸っぱい、酸っぱい、酸っぱい。激しく酸っぱいのだ。それもただの酸っぱさじゃない。醤油味が混じったような、しょっぱ酸っぱいような味わいだったのだ。ともかくパンチのある酸っぱさだ。酸味酒大好き人間のわたくしとしては、激しく好きなお酒だ。甘みはあまりなく、キレが非常に良い。しかし、ジューシーさがややあり、甘みの少ない白ワインというイメージのお酒だった。同席していた女性客は「インパクトありますねぇ~♪ 酸っぱくて好き」と悠然と口に含んでいた。「酸っぱい!」と激しく口走るわたくしと、人間の器の大きさが違う。身体も大きかったが・・・。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「プロデュース宇高育子、あわいちば山田錦100%使用、精米70%、アルコール17度、原材料名 米(徳島県産)米麹(徳島産米)、製造年月2020.5」。

 ここで「ん?」が2つ。1つは「あわいちば」ってなんだ? もう1つは宇高育子さんって誰だ? 「あわいちば」」はすぐわかった。徳島県の市場町で栽培された酒造好適米「あわいちば山田錦」のこと。地元ではブランド化を目指しているんだそうな。

 宇高育子さんについては、東京・八王子の酒販店「加桝屋」のウェブサイトが、宇高さんとこの酒の紹介をしているので、以下に転載する。

「昨年からリリースしている三芳菊の顔の一つがこちらの宇高さんプロデュースのシリーズ! 愛媛で『森の翠』の杜氏をしていらっしゃった宇高育子さんが三芳菊酒造に加わって山廃シリーズの仕込んでおります!
 これまでの三芳菊とは、麹、酵母、仕込み配合、もろみの動かし方などなどまったく違う仕込みをされたそうで、新たな可能性を見出してます!
 今回は『あわいちば山田錦』を使用した仕込みでございます!しっかりした旨味ときれいな酸が膨らんでおります!70%と低精白の割にきれいに仕上げた山廃は、さすがですね!!」

 宇高育子さんは愛媛県四国中央市の篠永酒造で杜氏を務めていたが、篠永酒造は2009年に廃業。2016BY(2016年7月~2017年6月までの醸造期間)から三好菊酒造に入られた、という。今回のお酒を飲んでみて、タダナラヌ三芳菊酒造に、タダナラヌ宇高さんが入られたことを、心からうれしくおもった。ヤンチャの二乗だとこの先どうなるんだ? これからの三芳菊酒造が楽しみだ。

 酒名「三芳菊」の由来について、コトバンクは「その香芳しく、その色淡く、その味美しき」の意味を込めて命名」と説明している。

酒蛙

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