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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4282】東一 純米吟醸 白鶴錦(あづまいち)【佐賀県】

2020.7.31 21:33
佐賀県嬉野市 五町田酒造
佐賀県嬉野市 五町田酒造

【B居酒屋にて 全8回の②】

 コロナ感染防止のための緊急事態宣言が解除された当地では、居酒屋が徐々に営業を再開している。なじみのB居酒屋も5月7日から営業を再開した。さっそく暖簾をくぐったが、まだ客は戻っていないようで、店長やスタッフは浮かない顔だ。しかし、居酒屋できちんと飲むのは1カ月ぶりというわたくしは、大張り切りで8種類の酒を飲んだ。

 最初に選んだのは「獅子吼 純米 超辛口 +15 無濾過生原酒」。次にいただいたのは「東一 純米吟醸 白鶴錦」だった。「東一」は、わたくしの頭の中では存在感がとても大きいお酒。非常に気に入っている銘柄の一つ。それなのに、当連載でこれまで、7種類しか取り上げていなかったとは自分でもびっくりだ。15種類くらい飲んでいる印象だったから。これだから、記憶は当てにならない。

 さて、このお酒は、かの清酒蔵最大手・白鶴酒造が開発した酒造好適米「白鶴錦」を使って醸したお酒だ。「白鶴錦」を使用したお酒は、当連載でこれまで、「雨後の月 純米大吟醸 白鶴錦100%使用」(当連載【3648】)、「白鶴 純米生原酒 荒駒 特撰」(当連載【3825】)、「あたごのまつ 純米大吟醸 白鶴錦」(当連載【3946】)、「東洋美人 純米大吟醸 白鶴錦 40」(当連載【4055】)の4種類を取り上げている。今回で5種類目だ。さて、いただいてみる。

 香りはほのか。やわらかで、丸みがある口当たり。上品な甘みを感じる。旨みは適度。飲み進めていったら、酸が遅れて出てきた。酸が出てきたものの、酒質は重くなく、全体的にやや軽快感がある。よく言えば綺麗でまったりとした調子。悪く言えばメリハリにすこし欠けるような印象を受けた。しかし、これも非常に上品に仕上がった結果のことだとおもう。

 瓶の裏ラベルは、「白鶴錦」を使ってみての印象を以下のように表現している。

「不思議な米『白鶴錦』」と題し
「『白鶴錦』は精米の仕上がりが美しかった。
『白鶴錦』は水をゆっくりと吸った。
『白鶴錦』は蒸し上がりの香りがすがすがしかった。
『白鶴錦』は素直に麹になるのをいやがった。
『白鶴錦』の麹は膨らみ、純白で、割れは全く見られなかった。醪(もろみ)は穏やかな香りにつつまれ、たたずまいは凛としていた。搾った酒は『たおやか』なり。  五町田酒造 勝木慶一郎」

 使用米の「白鶴錦」は「山田錦」ときょうだい品種。白鶴酒造のホームページは、「白鶴錦」を開発したいきさつについて、以下のように説明している。

「白鶴酒造は新しい試みに着手しました。『山田錦』の母にあたる『山田穂』と父にあたる『渡船』を約70年ぶりに交配させ、『山田錦』の兄弟品種を作る試みです。兄弟米の中には山田錦をしのぐ米があるかもしれないと考えたのです。公的機関の協力のもと、交配によって1年目には800系統におよぶ兄弟米を得て、2年目は、そのなかから優れた米100系統を選んで栽培し、さらに3年目はより優れた米を選びぬく…という選抜固定の栽培を繰り返し、ようやく8年目の2003年、山田錦にも劣らない品質の米を選ぶことができました。この品種は『白鶴酒造が育て上げた期待の米である』という意味を込め『白鶴錦(はくつるにしき)』という名前を付け、2004年4月に農林水産省へ品種登録の出願を行いました」

 瓶のラベルのスペック表示は「原材料 米(国産)米麹(国産米)、原料米 白鶴錦100%使用、精米歩合49%、アルコール分15度、製造年月19.9」。

 トランスペース研究所のサイトは、「東一」の名の由来について、以下のように説明している。

「この蔵元は、江戸時代から続く造り酒屋から分家して、日本一の酒造りを目指すという志を以て、『日本一』なる酒を造り出した。ところが、米で酒を造るのは、日本に限らない。東洋諸国で米作りがおこなわれている。そこで、日本一から更に広く、東洋一という意味を込めて『東一(あずまいち)』を世に出した」

酒蛙

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