メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4281】獅子吼 純米 超辛口 +15 無濾過生原酒(ししく)【石川県】

2020.7.30 17:30
石川県白山市 小堀酒造店
石川県白山市 小堀酒造店

【B居酒屋にて 全8回の①】

 コロナ感染防止のための緊急事態宣言が解除された当地では、居酒屋が徐々に営業を再開している。なじみのB居酒屋も5月7日から営業を再開した。さっそく暖簾をくぐったが、まだ客は戻っていないようで、店長やスタッフは浮かない顔だ。しかし、居酒屋できちんと飲むのは1カ月ぶりというわたくしは、大張り切りで8種類の酒を飲んだ。

 最初に選んだのは「獅子吼 純米 超辛口 +15 無濾過生原酒」だった。「萬歳楽」の蔵の新しい銘柄という。この蔵の酒は当連載でこれまで、5種類を取り上げており、うち「萬歳楽」は4種類。

 ろくすっぽラベルの説明を見ないで飲む酒を決めるわたくしは、店長が「これは超辛口です」と言ったのを尊重してトップバッターに選んだ。超辛口=淡麗酒、というこれまでの経験からトップに選んだのだった。というのは、複数の酒を飲むときは、淡麗酒から濃醇酒へ、辛口酒から甘口酒へ、と飲み進めていけば、それぞれの酒の持ち味がよく味わえるからだ。逆の飲み方をすれば、舌が前の酒の味に大きく影響され、次に飲む酒の本来の味わいを感じられないリスクがある。

 しかし、この酒は、ヨミが大きく外れた。超辛口のはずだが、最初の一口は、甘み・旨みがたっぷり、味にふくらみがあったのだ。超辛口酒で味にふくらみがあるなんて、およそ聞いたことがない。今回の酒は、ずばり濃醇酒だ。バナナ似・セメダイン(酢酸エチル)似の香りがかなり強い。ほどなく辛みが出て、エンディングも辛み。たしかに辛口酒であることに間違いはない。しかし、+15ほどには辛さを感じない。これはかなり旨みが出ているためだろう。

 余韻は苦み。酸もけっこう出ている。それにしても、味が強い。ずいぶん力強い酒だ。舌先に若干、ピリピリ、ガス感がある。ひとことで言うならば、濃醇辛口酒だ。こういうタイプの酒はかなり少ないとおもう。辛口酒なら淡麗、濃醇タイプなら旨口が通り相場で、発酵状況から、どうしてもそうなる。だから、濃醇辛口酒は二律背反的な部分があり珍しい。なんだかんだ言ったが、個人的には好きなタイプの酒だ。

 瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合65%、アルコール分18度、製造年月2020.4」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 蔵のサイトによると、「『萬歳楽』の商標は、世阿弥元清作の謡曲『高砂』の一節『千秋楽は民を撫で萬歳楽は命を延ぶ』からとったものです。『萬歳楽』とは長寿延命よろずの祝い事に用いられるめでたい言葉とされています。『萬歳楽』は古来より、宮中に伝わる雅楽の一つ」と書かれている。

 できれば、酒名「獅子吼」の由来をラベルに書いてほしかった。

酒蛙

関連記事 一覧へ