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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4275】笑四季 赤い糸 山田錦 オシロイバナ酵母 2018-19火入れ(えみしき)【滋賀県】

2020.7.24 22:35
滋賀県甲賀市 笑四季酒造
滋賀県甲賀市 笑四季酒造

【E居酒屋にて 全12回の⑩】

 ほぼ5年ぶりにE居酒屋の暖簾をくぐった。この店は酒の品揃えがなかなか素晴らしいのだが、どういうわけか近年縁遠く、不義理を欠いていたわたくしだったが、ママはにこやかに迎えてくれた。

「花笑み」「新橋の男達の酒」「御前酒」「黒澤」「水尾」「〆張鶴」「久保田」「蓬莱泉」「開運」と飲み進め、10番目にいただいたのは「笑四季 赤い糸 山田錦 オシロイバナ酵母 2018-19火入れ」だった。

「笑四季」はとにかく飲む機会が多く、当連載でこれまで、29種類を取り上げている。わたくしは、基本的に居酒屋で当連載の取材をしている。つまり、居酒屋と酒屋さんが、この「笑四季」に感心を寄せているから、わたくしが飲む機会が多い、ということになるのだとおもう。

 多くの「笑四季」を飲み続けてきて、やはり、酒屋さんが関心を寄せる酒蔵だと実感している。なぜならこの蔵は、立ち止まることを知らず、常に実験を続けているからだ。このやり方から、時としてとんでもなくすごい酒が誕生したりする。酒屋さんにとって、この蔵は、目が離せないやんちゃ坊主なのだ。そして、やんちゃぶりが好感を持たれる。だから、取り扱うことになる。そんな構図だとおもう。

 酒質も、貴醸酒的なお酒あり、地味な味わいあり、淡麗酒あり、と懐がやたらに深い。落ち着きがない、といえば聞こえが悪いが、固定観念にとらわれず、さまざまな試みに挑む姿は好感が持てる。また、いつものことながら、酒名は、ぶっ飛んでいる。遊びなのか、真剣なのか。そのつかみきれない正体不明なところがまた魅力なのだ。さて、今回のお酒をいただいてみる。

 含み香は果実香がやさしくふくらむ。ふくよか・やわらかな口当たりで酸が立つ。甘旨みが出ており、これに酸が絡む構図でジューシーなタイプ。突出した部分がなく『笑四季』の平均的な味わい、これがもっとも分かりやすい表現かも。加えて、きれい感もある。飲み続けていると、甘酸っぱい味わいになっていく。全体的にやや地味めだが、逆にいえばバランスの良さは抜群だ。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原料米 滋賀県産山田錦100%使用、精米歩合50%、竹島充修責任醸造、アルコール分16度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、製造時期(瓶詰)2019年4月5日」

 瓶の肩ラベルに「2019 最優秀賞酒 Professional Sake College」と書かれている。見慣れない賞だ。これについて、地酒通販・佐野屋のサイトは、以下のように説明している。

「造り手、販売店といったお酒に携わるプロが東京農業大学に集まりました。東京都世田谷区の地酒専門店『朝日屋酒店』と東京農業大学が共催する勉強会。それが『Professional Sake College(プロフェッショナル・サケ・カレッジ)』です。今回、私も初めて佐野屋を代表して参加させて頂きました。(中略)
 今回は90蔵のお酒を約200名の参加者がブラインドテイスティング。香り・味・バランスを5段階評価し、参加者から最も良いお酒だと評価されたのが『笑四季の赤い糸の山田錦』です。
 もう少し掘り下げて説明しますと、90種類のお酒は3つのグループに分類されていました。グループはそれぞれ、「A」甘さ控え目(グルコース濃度が低め)  「B」甘め(グルコース濃度が高め)  「C」山廃、生もと系  以上の3つ。
 その中で、『赤い糸の山田錦』は甘め『Bグループ』の中で1位。更に、グループを超えた総合ランキングでも1位だったということです」

 また、この酒は、オシロイバナ酵母で醸しているのがユニーク。これまで当連載では、イチゴ、サクラ、ツルバラ、ヒマワリ、ナデシコなどさまざまな花酵母を使って醸したお酒を取り上げてきた。しかし、オシロイバナは初めてだ。これにはたまげた。しかし、オシロイバナ酵母が結果的にどのような効果を発揮したのかについては、まったく分からない。

 酒名・蔵名の「笑四季」の由来について、コトバンクは「酒名は、四季を通じて楽しく酒を飲みながら暮らしてほしいとの思いを込めて命名」と説明している。

酒蛙

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