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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4269】黒澤 生酛 特別純米(くろさわ)【長野県】

2020.7.18 22:22
長野県南佐久郡佐久穂町 黒澤酒造
長野県南佐久郡佐久穂町 黒澤酒造

【E居酒屋にて 全12回の④】

 ほぼ4年ぶりにE居酒屋の暖簾をくぐった。この店は酒の品揃えがなかなか素晴らしいのだが、どういうわけか近年縁遠く、不義理を欠いていたわたくしだったが、ママはにこやかに迎えてくれた。

「花笑み」「新橋の男達の酒」「御前酒」と飲み進め、4番目にいただいたのは「黒澤 生酛 特別純米」だった。「黒澤」は、わたくしの友人の黒澤(本当に名字が黒澤)が大のお気に入りで「くろさわ 96380 生酛 純米 80 うすにごり」(当連載【1216】)をいただいたことがある。「96380」は、黒澤を数字で音表記したもの。彼は以前、居酒屋で「96380」を飲むとき、決まってラベル写真を送ってきたものだった。当時はLINEなんて無いから、携帯メールで、だ。

 さて、今回のお酒をいただいてみる。酸が立つが、旨みすくなめで、すっきり、きれいな酒質。やや辛口寄りで、ドライ感もあり。生酛というと以前は、ガツンと来る骨太などっしりタイプのお酒が多かった。しかし近年、きれい・すっきりした口当たりの生酛が多くなっており、むしろトレンドっぽくなっている。今回のお酒もそのタイプだ。やわらかさも少しあり。セメダイン香(酢酸エチル)が少し。飲み飽きしないお酒だった。どんな料理にも合うお酒だとおもった。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「地元産酒造好適米“ひとごこち”を使用し生酛造りで醸した逸品です。口あたり柔らかく、ふくらみある辛口純米です」

 裏ラベルのスペック表示は「2017、平成29酒造年度、瓶火入れ 蔵内常温貯蔵、アルコール分15.5度、精米歩合59%、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 長野県産ひとごこち100%使用、日本酒度+4、酸度1.8、酵母 協会901号、杜氏名 黒澤洋平、製造年月2018.02、出荷年月2019.12」。醸してから出荷まですこし間がある。醸したばかりのときは、かなり若かったので、すこし寝かせたのではないだろうか。飲んでみて、そうおもった。

 使用米の「ひとごこち」は、長野県農事試験場が1987年、母『白妙錦』と父『信交444号』を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定、1997年に品種登録された酒造好適米。

 この蔵の主銘柄は「井筒長」。昔、出張で長野市を訪れた夜、大衆的居酒屋で、「井筒長」の緑色のガラスの1合瓶(たぶん普通酒)の燗酒を飲んだ記憶がある。今もあるのかなあ。

 蔵のホームページによると、明治時代の銘柄は「マルト正宗」だったが、大正時代に第2号の井戸を掘った時に良い水を掘り当てたことから、「井筒正宗」に改名。さらに昭和時代に入ってから、井戸の守り手の長(オサ)の意味から「井筒長」と名付け、今日に至る。ちなみに、明治時代の「マルト正宗」の「マルト」は、「マル」が「太陽」、「ト」は「昇る」つまり旭日昇天、事業を伸ばすという意味をもつ屋号にちなんだものという。

酒蛙

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