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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4266】花笑み 純米吟醸(はなえみ)【大分県】

2020.7.14 21:06
大分県佐伯市 大地酒造
大分県佐伯市 大地酒造

【E居酒屋にて 全12回の①】

 ほぼ4年ぶりにE居酒屋の暖簾をくぐった。この店は酒の品揃えがなかなか素晴らしいのだが、どういうわけか近年縁遠く、不義理を欠いていたわたくしだったが、ママはにこやかに迎えてくれた。

 最初に選んだのは「花笑み 純米吟醸」だった。選んだ理由は、わたくしにとって初めての蔵だったからだ。この「花笑み」が生まれるまでに、大きなドラマがあった。2019年6月13日付の大分合同新聞が記事に取り上げているので、以下に転載する。

「佐伯市船頭町の大地酒造が日本酒の新銘柄『花笑(はなえ)み』の販売を始めた。後継者がおらず廃業の危機にあった酒蔵を、市内で酒店を営む池田敬さん(57)が受け継いで生まれた新商品。『佐伯の魚や野菜を使った料理とよく合う。多くの人に楽しんでもらいたい』と呼び掛ける。
 大地酒造は1885年の創業で、大地正一会長(68)が5代目。かつて県南部を中心に約5万升を出荷していた。近年は小売店の激減などで10分の1まで落ち込み、大地会長は子どもたちも継ぎそうになく、廃業を考えていたという。
 池田さんは同市上浦浅海井で父の代から酒店を経営。20年ほど前から大地酒造に通い、酒造りを学んだ。『歴史ある酒蔵をなくしてはならない。継承したい』と申し出たが、断られた。熱意を示そうと2013年に酒米栽培から始め、交流のあった津久見市のNPO法人『やまびこクラブ』の知的障害者らも作業に協力。5年間の取り組みの末、大地会長に認められ、社長となった。
 今年1月には県内の別の酒蔵で杜氏(とうじ)をしていた弟の司さん(55)を専務に迎え、納得のいく純米酒を完成させた。
 池田社長らは7日に市役所を訪ね、販売開始を報告。試飲した田中利明市長は『飲みやすい。酒蔵も続くことになりうれしい。県内外の人に紹介したい』と述べた」

 さて、いただいてみる。香りは果実香がほのか。厚みはあまりなく、すっきりとした酒質で、ややドライ感があり、酸が立つ。飲み進めていくと、旨みがじわじわ出てくる。余韻は辛み。ひとことで言うと、淡麗やや辛口。クセが無く、料理と合わせやすいお酒だとおもった。

 蔵のホームページは「新しくできたばかりのお酒です」と題し、「花笑み」を以下のように紹介している。「『花笑み』とは、パッ!と花が咲いたような明るい笑顔の事をいいます。『笑う』には『蕾が開く』という意味があります。新しくできたばかり。蕾が開いたばかりのお酒です。日常のちょっとした『笑み』に、特別な『笑みに』。『花笑み』をおともにどうぞ」

「花笑み」のラインナップは純米大吟醸、純米吟醸、特別純米、純米の純米系4種類。今回のお酒はこのうち純米吟醸。蔵のホームページは、このお酒を「超正統派吟醸酒」と題し、以下のように紹介している。「吟醸香の香り高く、スッキリとした味わいの中辛口吟醸酒。フレッシュなりんごを想わせるほどの上品な香りで食卓に花を添えてくれること間違いなしの1本。特に女性からの人気が高く、洋食に幅広くマッチングしてくれます。ラベルには『ユリ』が描かれており、花言葉は純潔・威厳です。純な味わいの中にも風格を感じます」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合 麹米:山田錦50%、掛米:山田錦50%、アルコール分16度以上17度未満、日本酒度+3、酸度1.6、製造年月2019.5、ユリ」。

 また、蔵のホームページが開示しているスペックは「麹米(精米歩合)山田錦(50%) 掛米(精米歩合)山田錦(50%)、酵母9号、ALC度数 16.3、日本酒度+3、酸1.6、タイプ 中口、ラベル ユリ、ラベルの花言葉 純潔 / 無垢 / 威厳」

 この蔵の以前の主銘柄は「天眞雪正宗」(てんしんゆきまさむね)。その由来について、日本の名酒事典は「明治18年創業。酒名は『天真爛漫で雪のようにきれいな酒』という願いを込めて命名された」と説明している。ホームページでは「天眞雪正宗」について、「独歩も愛した佐伯のお酒」とも。

 小説家、詩人、ジャーナリストとして知られる国木田 独歩(1871~1908年)(明治41年)6月23日)は、千葉県銚子生まれ、広島県広島市、山口県育ち。大分県佐伯市とのつながりは、ウィキペディアによると以下の通り。

「1893年(明治26年)10月、佐伯町鶴谷学館教師として、弟と共に佐伯へ。佐伯滞在はわずかに1年足らずであったが、尺間山、彦岳、元越山、栂牟礼山などの山々に登っている。なかでも独歩が最も愛し、何度も登ったのが佐伯城跡の城山である。その様子が『欺かざるの記』に詳しく記されている。城山の山頂には『独歩の碑』が建てられている。 佐伯滞在の経験は後に作品に大きな影響を与えることとなり、『春の鳥』『源叔父』『鹿狩』など、佐伯を舞台とする作品として結実している」

酒蛙

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